仕方が無い事とは言え、2015年11月以降は特にパチンコ機の話題が一気に増え、スロット機の事については水面下で色々なネタが控えているものの、未だ表立っては来ていないという状況にあるかと思います。
今回は、私の営業メモというか、数か月前にキャリアが浅い店長/上級管理職向けの社内資料として作成したものの一部に手を加えて、記事の体裁に仕立て直したものをご紹介したいと思います。
Contents
最近のスペック別の状況
最近のスロット機の各スペックの勢力図を見るにあたっては、2つのポイントがあるように思います。
①新し目の機種にそれほど力が無いため、ちょっと古くても旧基準AT機やまとまった枚数が取れるジャグラー系、ハナハナ系、Aタイプ機の存在感が相対的に上昇している
②継続(上乗せ)性能やプレミアム役に力が無い機種が増えてきている中で、5枚台の高レート店でどうせ打つなら一発強い役を引っ掛けた時のリターンが大きいものを、といった観点でゴッド系、初代沖ドキ等の機種が再評価されている
まずは、これらについて、順を追って見ていきたいと思います。
①Aタイプ機の存在感の上昇
これに関しては、昨年の夏場以降販売のペースが上がってきて、ホール現場で見ていても打ち手の中にAタイプ機のファン層が着実に増えてきているという実感があります。
ただし、スペック上どんどん売り上げが進むようなものではないため、交換枚数や設定配分、IN枚数にも依りますが日当たり台粗利1,500~2,500円くらい、すなわち月間で1台が稼ぐ粗利が6万円前後という数字を見て、数年前のように旧基準AT機をズラリと並べておけばある程度勝手に台粗利4,000円以上稼いでくれた頃と比べて、その落差に愕然としている交換枚数5枚台のお店の店長さんも多いものと推察します。
この数字は、交換枚数が6枚台~7枚のお店のジャグラー系が、中間設定以上を日常的に使いながらでも台粗利5,000円以上は楽に残せるのと比べると、非常に低い水準の粗利益と言えます。
そうはいっても、時代の流れが射幸性を抑えようとしていることには抗えないので、早めにそういった時代を生き抜く方向に考え方を変えて新たにAタイプバラエティーコーナーを造ったり、ジャグラー系の強化を図ったというお店も多いでしょう。
ただし、バラエティーコーナーにはまともな設定は使わないというのがお店側の従来的なセオリーであるため、今まで通りの低設定配分に終始しているお店の同コーナーには集客力が無く、本来はこれまでより薄利であっても、しっかりと稼動させることで店内の賑わいとなり、結果的に他の機種/コーナーの稼動も招くという相乗効果を期待すべきところを、それが出来ていないお店も沢山あるように見えます。
②ゴッド系等の再評価
次に、②に関しては、例えば中古価格の推移を見てもその存在感の再評価というか、ホール現場でのパフォーマンスの再浮上が表れていると思います。
ゴッド/ハーデスは一時期、どちらも3万円程度の水準まで価格が低下したものの、じわじわと値を戻し12~20万円水準で取引されています。
沖ドキに関しては、後継機であるトロピカルが導入されたり次回作であるパラダイスの情報が世に出ても、その価値が下がっていくよりは寧ろ再浮上しているように見え、「シリーズ物の評価において、初代に勝るものは無い」という業界の定説が正に当て嵌まる機種であるように思います。
両者の魅力は言うまでも無く一撃性であり、「今どきの機種で1/32,000のプレミアム役を引いたが600枚しか計数出来なかった。こんなの引くくらいなら、1/8,000のGOD揃いを4回引きたいよ!」といった声も良く耳にします。
これらについては、高射幸性スロット機、いわゆる2万枚問題に触れる機種に関して、期限を設けて強制撤去といった状況にでもならない限りは、可能な限り長く使うつもりだというお店がほとんどだと推察します。

この爆発力が魅力!
開発販売の傾向について
次に、現在のメーカーの開発販売の傾向および、当面の見通しについて見ていきます。
これに関しては、読者の皆さんも即答できるレベルの傾向が出ていることと思いますが、敢えて3点書くと↓
①Aタイプ機の販売
②旧タイトル機の掘り起こし
③シリーズ物の販売の継続
こういった事が挙げられるかと思います。
以下で、これらについても、簡単にではありますが順を追って見ていきたいと思います。
①Aタイプ機の販売
ある一時期からAT/ART機の型式試験の適合率が低下していき、その後は2万枚問題も与ってスペック面での見直し(射幸性の抑制)が図られるようになってから、じゃあ造っちゃえ的にどんどん販売されている状況です。
確かに、ジャグラー系およびハナハナ系、HANABIなどの機種には根強い支持が集まっています。
しかし、それ以外の機種はと言うと、販売されてから4週間後には中古での取引価格が数万円の水準まで低下したり、仮にまともな設定を使って営業しても、店側が最低限欲しい客数(稼動)と粗利益のバランスが釣り合わない機種がほとんどであるように推察します。
なぜこのバランスが釣り合わないのかと言えば、第一に機種自体に魅力が無いこと、第二にホール企業の経営状況の悪化(遊ばせるだけの余裕が無いお店も多い)、そして第三にパチンコスロット業界において既に薄利多売の原則が崩壊していることが挙げられるかと思います。
特に第三については深刻で、今後はもう回復することは有り得ないでしょう。
ある程度の遊技人口があれば、仮に毎日まともな設定を使って営業して薄利であっても、1台の遊技機に対して何人もの遊技客が着くためそれ相応の売り上げが得られ、ひいては適当な粗利益も残すことができると言えます。
それが、現状では、まともな設定を使用してその台は高稼動しても(この台は客滞率が高くなり薄利或いは粗利マイナス)、コーナー/島全体で見た時には稼動が上がらなかったりする日が多いです。
言い方をかえれば、見せ玉/メダルというものがほとんど機能しない、頑張って営業してもそれを見てくれる人が大幅に減少したので後々へのプラス効果が得られないといったところでしょうか。
これが、巡りめぐって、店側の設定配分にもマイナス影響していると言えます。
②旧タイトル機の掘り起こし
これについては、半ば怒りにも似た感情をお持ちの読者の方も多いのではないでしょうか?
実は私自身もそうだったりします。
年代の差はあれ、「10代~20代の頃に愛した懐かしの機種が、超が付くほどのク●台に生まれ変わって戻ってきた様は、直視できない!」という声を、ホール現場では非常に良く耳にします。
好き嫌いや当りハズレの認識に個人差があるのは承知の上で書きますが、シーマスター、ナイツ、キュロゴス、リノ、功夫淑女、サイバードラゴン、コンチネンタル、デュエルドラゴン、アレックス、アステカ、南国育ち、マジックモンスター、吉宗、アラジン、サラリーマン金太郎などなど・・・
※ちなみに、マリーンバトルは10年ほど前に先んじて大コケしています。
(2006年に「モエるまりんバトる 」という悶絶のタイトルで販売・・・)
持ちネタを引っ張り出して来て懐かしさという要素でもって注目を得るのはこの業界に限らず良く見受けられる手法ですが、どうせやるならもう少しオールドファンの心情を理解して欲しいと切に願うばかりです。
現状では、全く新しい機種をゼロから造り出す気概に欠けている、そのように見なされても文句は言えないような体たらくかと思います。
③シリーズ物の販売の継続
これに関しては②に近いところがあり、またパチンコ機の開発販売に関しても同様の傾向があるように見えます。
2~3~4と次回作が出るにつれて根強いファン層が満足するのであればいくらでも継続してもらって構わない訳ですが、前述の通り業界には初代に勝るインパクト、営業貢献度を示す例はそこまで多くありません。
次回作が出て来る度に「またヱヴァか」「ルパンって10カ月くらい前にも出たよね」「困ったら北斗か」「新タイトル機を開発する気が無いのかな?」という打ち手の声が聞こえてきそうです。
パチンコの「不正」遊技機問題の終息の次は・・・
こういった感じで、現状のスロット機の設置状況およびメーカーの開発販売の状況について簡単にではありますが見てきました。
それでは、更にこの先には、どういった状況が控えているのでしょうか?
最終(第三次+第四次)撤去リストの公表待ち→撤去期限の設定を控えており後半戦入りしていると言える、パチンコ機の「不正」遊技機問題が終息していけば、次はスロット機の射幸性の抑制へという流れは回避できない状況にあります。
既に方々で「3,000枚リミッターか?」などといった話も出て来ていますが、ここでは割愛させて頂くとして、いずれにしても現状よりは瞬発力が落とされ、一撃役の性能が削られたものが出て来るのは目に見えています。
取り締まり行政側のスタンスとしては、パチンコスロット双方に関して、短時間で多額のお金を出し入れするのではなく、時間消費型のスペック機が多種多様に設置されている状況が好ましいと考えているのが行政講話等を通して読みとれます。
これは専業層にとっては遊技効率の悪化やリターンの期待値低下を意味し、ホール側にとっては極大な売り上げを期待できる遊技機の喪失を意味します。
他方、メーカーにとっては、パチンコの「不正」遊技機の撤去問題と同様に、一時的には既存機種との入替需要が発生するものの、今後の開発販売方針や価格設定、ホールとの付き合い方、打ち手のニーズに射幸性以外の面で応える事などに失敗すれば、経営状況を大きく悪化させるところが出て来る可能性も否定できないと推察します。
箱型に納めて造れば売れる、このような状況はホールが潤っていてこそ成り立つ事であり、今後は通用しないと言えます。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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個人的にはAタイプ機種が増えてきてる最近の傾向は歓迎しています。
なんといってもパチスロの醍醐味はリーチ目を察知してボーナスを揃えること。これに尽きると思っているからです。
中押し、逆押し、順押し、ハサミ打ちなどその時の気分で押し順を変えて限定のリーチ目を見るとか、成立ゲーム限定のリーチ目を見るとかといった、いわばゲーム性を楽しむことができていたと思います。
それがいつからか一撃●千枚‼︎とか設定1でも機械割●%を越える、設定6の機械割●%!とかゲーム性とはかけ離れたギャンブル性とも言える部分にのみ注目が集まるようになってしまいました。
もちろんそれには私達ユーザーの声があったからだと思います。
しかし、一度そういう流れになってからは各メーカーとも競ってそのようなギャンブル性の高い機種のみに固執し、またホールはそういうコイン単価の高い機種を欲しがる。(粗利が取りやすいから)
言ってみればユーザーを含めてこの業界に関わる全ての人たちがある意味狂っていたのではないかと思います。
その結果が行政指導等の規制でがんじがらめになった今の状況を作り出してしまったのではないかと。
なので原点回帰の意味でもAタイプの面白い機種が増えてきてる最近の風潮は私自身としては歓迎しています。
ボーナス後に数十ゲームRTが付いてそのRT中にボーナスを引くと何かストーリーが進むとか、そういった出玉だけでなく、ゲーム性に繋がるような機種がもっと増えてきたら楽しみの幅も広がるんじゃないかなと。
マサ さん
なけなしの5千円を握りしめて毎G大事にレバーON、3~4コマ引き込んでスイカテンパイ外れ・・・狙ってみたらBIG。
2連チャンさせて即ヤメで見事プラス収支、これが本来のスロットだよなーという感じですが、今や遊ぶというよりは黙々と通常時を消化し、BONUSさえも消化し、一発大きい役を引っ掛けるのを待つだけの機種が多くなってしまいました。
まあ、それこそマサさんが仰るように打ち手なりホールが望んだからメーカーがこぞってそのようなスペック機を造ってきたとも言えるでしょうが、流石に飽和したというか行き着くところまで行ってしまった感がありますよね。
8/22(月)から導入開始のクレアの秘宝伝の新作なんかは、RT演出にも7種のパターンがあったり、設定6出率が114%超だったりと、マメに設定変更したり高設定使用実績があるお店であれば楽しめる造りになっているように見えます。
私自身も、特定機種の高粗利に依存するような従来的な島/コーナー設計を改めて、ある程度ですが薄利多売の雰囲気を出せるようにAタイプバラエティーコーナーを改良しながら店舗運営しておるところです。
ですが、なかなか思うように会社員層が増えてこない状況。
やはり、お父さん方のお財布にもう少し厚みが出て来ないと、パチンコスロットの真の復調はまだまだ遠いように思います。
そういった意味で、景気や物価、或いは住宅ローンや社会福祉、医療なども含めた家計単位で見た時の「将来設計がしっかりとイメージできる世の中なのか?」という課題は、この業界にとっても重要な問題であるように思います。
返信ありがとうございます。
そうですね。景気が悪くても儲かるのはパチンコ屋と風俗だけと言われた時代ももう過去の話ですからね。
やはり景気が悪くて今後の生活に不安があるとなかなか財布の紐も緩まなくなるのが現状だと思います。
そうなってくると問題なのはやはり経営する側の昔の幻想を未だに追っている姿勢かなと思います。
他の記事で楽太郎さんが言っていたように『粗利は800万減りましたが入替費用は900万抑えました。これで大丈夫ですよね?』と言ったような形になっていくのが望ましいと思います。
それなら1台あたりの粗利が落ちたとしてもその分稼働で補う事もできると思いますし、それが本来のあるべきパチンコやパチスロの姿じゃないかなと思います。
僕がパチンコをやり始めた頃は2.5円交換や7.6枚7枚交換が主流でしたがだからと言って勝てなかったと言われると正直勝ってました。
それくらいメーカー、ホール、ユーザーの中である種の信頼関係もできていたと思います。
それがいつの間にかみんなが拝金主義に走って、一部の専業の人が少ない利益を食い尽くして大多数の一般ユーザーは常に負け続ける。その結果が残ったのは一部のヘビーユーザー(依存症とも言える)で全体の遊戯人口が減少し続ける今の状況です。
この流れにどこかで歯止めをかけないと、あと10年〜20年後には一部の大手チェーン店や大手メーカーのみを残して中小のホールの大多数は廃業→結果的に業界全体が立ち行かなくなる気がします。
そのためにも、もう一度パチンコ業界に携わる人やユーザー全体が考え直さないといけないと思います。
マサ さん
責任放棄のような書き方になってしまいますが、メーカー側もホール側も、抱えている問題の原因は現場には無く、双方の経営者側にあると思っています。
また、追い詰められた格好で「不正」遊技機問題が終息に向かおうとしていることや、迫るスロットのスペックダウン規制(或いは目的未確定のまま搭載が決定した役比モニタなども…)も、同様です。
陰謀史観的かも知れませんが、業界を食い物にしてきた/現時点でもそうしている一部の者、こんな状況でも得をしている者は、どこかに確実に居ると思っています。
彼らには出先でホール側から「ク●台ばっかり作りやがって」「こんな販売条件には付き合えない」と怒鳴られる営業マンの気持ち、遊技客から「遊ばせる気が無いなら遊技場なんてやめちまえ」「メーカーがどんなにまともに作っても、ホールが釘をいじって遊べなくする」と罵声を浴びる店舗責任者の気持ち、そして「ひと昔前なら、休みの日は朝からホールに打ちに行くのが楽しみだったのに、今は全くそんな気持ちにはなれない」と嘆く打ち手の気持ちが分からないのだと思います。
私が見聞きする範囲ですが、結局、ある役職以上偉くなると、何か問題があっても自身が無事に定年退職を迎えるまで業界が存続していればそれで構わない程度の気持ちでいる者が多いので、それも打ち手の不満が大きくなる要因かと思っています。
だからという訳でもありませんが、当初は私自身の備忘録的な意味合いで始めたこのブログも、思いのほか読者の方が増えて来てコメントやお問い合わせを多数頂くようになってきてからというもの、出来る範囲でですがなるべく真摯に応えたいと、多少文章としては長くなってしまいますが、可能な限り説明的に回答できるように心がけようという意識が強くなりました。
私の様な者にできることは微小ですが、打ち手の皆さんの疑問や業界に対しての不満を聞く事くらいはできますし、それこそがメーカー/ホール側の経営陣が決してできないことでもあるので、今後も地道に取り組んでいきたいと考えています。
いつもブログを覗きに来て頂き、またご意見をお寄せ頂き、本当にありがとうございますm(_)m
楽太郎さんの見解通り、最近Aタイプを煽る店が増えました。
ただそういう店って決まってバケの多さをアピールするんですよ。
今日はバケがこんだけでビッグに近くて~みたいな。
で期待して行ってみると腐ってるんですよ。
2000GでB4 R8のマイジャグとか。そりゃねーだろっていう。
確かにビッグに設定差は少ないですが、ないわけではないですし
ここまで腐ってる台が上って言われてもちょっと・・・という気になるんです。
上記しました
2000GでB4 R7みたいな挙動をする台は中間(2とか3のバケ引き強)な気がしてます。
個人的にビッグの代わりにバケを引いてんじゃねえか!!みたいな
(バケだけ高設定域で推移するけどビッグが1/400を平気で下回ってくる)
台は全部中間じゃないかと思ってるんですよね。
むしろビッグ走ってバケが1/300ぐらいの台のが上な気がします。
営業されてる側としてはどんな感じでしょうか?
おっさん さん
打ち手としては、本来店からアピールして欲しいのは稼動であり合成確率ですよね。
立派なデータランプや閲覧用の大型タッチモニタを設置しているお店も増えたわけですから、それらで終日とは言わないまでもしっかり稼動した形跡があるスランプグラフの台がBB/RB20回超で合成確率も1/135などと表示されれば、「設定4?5?とにかく、まともな設定はあるな!」と信頼度が増すわけで。
ご指摘の通り、引き強の打ち手がビシバシとRBを引いてしまえば(いや、引き弱?)設定1だろうが2だろうがまともなRB確率になってしまうのは事実です。
ちなみに、最近のウチのお店のマイジャグラーⅢの設定3営業データを2件ご紹介すると↓
①BB28回/RB22回
BB1/251 RB1/320 合成1/141
②BB41回/RB14回
BB1/151 RB1/443 合成1/112
こんなのがあり、①はともかく、②に関してはもう設定いくつなのか訳がわかりません。。。
実際に設定を入れた方としても「あれ?この台、設定いくつだっけ?」と不思議なデータになる場面も多々あります。
そういった意味で、やはり完全確率機は打ち手の引き次第ということで、中間設定でも日常的に使ってくれるお店であればそれなりにフェアな勝負が出来るんじゃないでしょうかね。