今回は、同業の方からのご質問にお応えします。
かずは さんからのご質問
楽太郎様
はじめまして
いつも勉強させて頂いております。
私は●●地方某県の中小チェーンに勤務しているちょっとした役職でございます。
今年●月から設定を任されることになり、上司とシェアするかたちで業務にあたっているのですが、現状ではまだ自由度がなく上司のプランをほぼ踏襲するかたちで設定を入れている段階です。
(中略:勤務状況、社内風土などの具体的な記載があります)
本日は、設定の入れ方、考え方について質問させて頂きたく連絡差し上げました。
それは、土日のアゲ(注:設定配分を平時よりプラスにする事)は本当に無駄なのか?
という事です。
楽太郎様の過去記事を拝見していると、「土日の営業の仕方はホールにより大差がある。抜きのホールはとことん抜きだが、土日しか来ない客層向けに格好を付けることで翌週土日の稼動を担保する場合がある」、といった風な表現が見当たりました。
私の勤務店は県下では都市部にあたり、日曜稼動が伸びない傾向にございますので、売上が進まないこと前提で設定を入れており日曜のアゲはありえません。
しかし、土曜なら、場合によっては金曜よりも伸びます。
現状では、上司はこの土曜を、週間で欠けた粗の補填に充てています。
(注:粗利ノルマを追い駆ける中で、その週にショートした分を土曜の売上の多くを粗利にする事でカバーしようとする手法)
また、仮に欠けていなくても、乗せる機会として考えて抜きで営業しています。
私は、あくまで個人の考え方なのですが、毎週そうでなくてももし少しでも余裕があるのであればアゲにしてはどうかと思います。
楽太郎様が指摘されるように、翌週の一定の集客に結びつくのでは?
そのように思っております。
現場管理しておりますと、土曜の来店頻度が高い会員様というのは実際かなりの数いらっしゃいます。
現状の設定の入れ方、考え方ですと、土曜専門、土曜に来店頻度が高いお客様は、割を食い続けることになってしまいます。
・一週間働いて、お休みの日に朝からご来店下さったお客様
・普段は短時間遊技しかする余裕が無くても、この日ならと長時間ホールで過ごして下さるお客様
・今週の土曜は勤務なんだと言ってスーツを着て出て来たが、実は思う存分遊ぶためにそのようにしていると笑いながらお話される会社員のお客様
こうしたお客様方とホールで接しておりますと、設定の中身を知っている身としましては本当に今のやり方で良いのか、疑問に思っております。
設定を入れてみろと言われ土曜の設定を割り振りし、それがアゲであれば必ず却下されるという状況が長く続いており、自分では土曜のアゲは無駄ではないと強く思っていてもそれが通らないことに何か良い方法はないものかと思い、問い合わせさせて頂きました。
日々の激務、ブログ更新で大変お忙しいとは思いますが、ご教示下さればありがたいです。
お返事頂ける場合、メール、記事どちらでも構いませんが、記事でのお返事の場合は勤務状況などの箇所は伏せて頂きますようにお願い申し上げます。
よろしくお願い致します。
________
ここまでが、かずは さんからのご質問です。
それでは回答です。
回答
上司の方の判断は正しい
まず、現在指導を受けておられる上司の方の考え方、設定配分の仕方についてですが、これは正しいと言えます。
会社経営、店舗運営は数字の世界であり、店長職は営業数字作りのミッション遂行者です。
月間の粗利を作って行くにあたり、週間で区切りつつその都度ショート幅をチェックしながらマイナスがあれば「売上が伸びそうな日に補填」というのは現実的と言えます。
それが、かずは さんのお店の場合は土曜にあたるのであれば、仕方がないと言えます。
また、もしもその週に余裕があっても稼動を意識して還元に充てるのではなく、普段通り粗利主眼の設定配分にするという事についても、やはり「取れる時に取っておき、その後取れなかった時の保険にする」という考え方であり妥当と言えます。
酷なようですが、そうしないとクリアできない程の粗利ノルマが課されているものと推察しますので、お店の存続や社員の給与待遇等の維持のために上司の方がそうしている事だけは理解してあげて下さい。
ただし、
「もっと良いやり方はないのか?」
「本当にこの考え方で今後もやって行けるのか?」
そのように自問自答したり、実際に別のやり方を提案したり試そうとする事は非常に大切な事で、若手管理職にとっては絶対的に必要な気付きというか取り組み姿勢です。
その過程で、なかなか意見が通らない、結局は何も変わらない、という悩みは、かずは さんだけでなく、かつては私自身にもありましたし、現時点で全国の同じような年齢/ポジションの同業者からも共感されるものだと思います。
実際、今回のご質問は、私にとっては2回目です。
1年ほど前に、おそらくは同じくらいの年齢で同じようなポジションの方から、ほぼ同じ内容のご質問をお寄せ頂いた事があります。
一任されるように取り組む
では、自分の意見が通るように、自分が思うように行動できるようになるには、どのように取り組むべきか?
これについては、わざわざお話しするまでも無いでしょうが、それが可能なポジションを獲得するしかありません。
私も含め、店長やそれ以上の立場にある者は皆そのようにして来た訳であり、やはり同じレールの上を突っ走って追い付き追い抜いたり、同じ階段でも一気に駆け上がって並走したり更に上まで行く必要があります。
しかし、それが可能な条件/環境が、今の若手管理職には与えられていない、というのもまた事実です。
業界全体を見た時に、待遇面では、ひと昔前よりはずっと改善されたかと思いますが、給与面では、私が若手管理職だった頃の「当り前」の水準よりは遥かに低いでしょうし、平時の客数なり使用金額、新台のパフォーマンスや遊技機のスペックなど、あらゆる面で見劣りするのが現実です。
つまり、不利な条件、試行錯誤が許されたり成果をあげる事が難しい環境で、それを成さなければならないという事です。
ただ、これは私が、下位の役職者(主任/リーダーなど)や上位の役職者(マネジャーなど)の指導時に良く話している事なのですが、不利な条件/環境/状況で出した一定の結果は、ひと昔前の同等の結果を遥かに凌ぐほどの価値があるので、是非それを追求して頂きたいと思います。
「~と言えば・・・」
では、具体的にはどのような取り組みが必要かと言えば、色んな業務がある中で、上司の方が細かいデータなり運営状況を調べたり問い合わせるにあたり、「~と言えば・・・」と考えた際に真っ先に自分の名前が挙がるくらいに業務に精通する事です。
今の職場にも、そのような方は、これは部下/上司不問な訳ですが、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
ホール内の備品/在庫管理に関しては、女性社員のAさんに聞けば誰よりも詳しい情報が得られるとか、業者さんとの遣り取りの経緯はマネジャーのBさんが詳しいとか、そういう事です。
実際、かずは さんは自店の会員データがどんな感じか把握されているようですし、今回のお問い合わせ文面にもありました「土曜の来店頻度が高い会員様というのは実際かなりの数いらっしゃいます」というのは、普段からしっかり会員データをチェックしているからこその気付きだと思います。
今はまだ「ちょっとした役職」との事ですが、こういった店舗管理上得られるデータなどは結構沢山あるかと思いますので、それらをしっかり集積/分析して、自分の意見を上司の方に提案する際の補強材として扱うのが理想です。
ですが、こういったデータは、あくまでも補強材に過ぎません。
元が無いものを、強く見せる事はできない、という事です。
今回は設定配分の考え方についてですから、設定配分する者に相応しい知識なり感覚を身に付ける事が肝要です。
そのためには、スペックの特性をしっかり把握するのはもちろんとして、自店に置いている機種なら最低でも全機種5,000~6,000枚くらいは実際に稼動してみるなどの取り組みが必要です。
お勤め先の会社の規模までは分かりませんが、一定の規模以上であれば上位のマネジャーや店長さんは日々多忙であり、「そこまでは見れない/やれない」という水準というものは思いのほか低い場合もあります。
なので、まずはその水準を超える事が、「スロットコーナー運営は、あいつに一任しよう」と思わせるための第一歩となります。
まとめ
同業の後輩の方からのお問い合わせの際には、私はだいたいちょっと手厳しいお返事になってしまうのが常なのですが、本件もやはり、このようにまとめさせて頂く事にします。
ご質問の主旨3点↓
①「土日のアゲは本当に無駄なのか?」
②「毎週そうでなくても、もし少しでも余裕があるのであればアゲにしてはどうかと思う」
③「設定を入れてみろと言われ土曜の設定を割り振りし、それがアゲであれば必ず却下されるという状況が長く続いる。自分では土曜のアゲは無駄ではないと強く思っていてもそれが通らない。何か良い方法はないものかと思い、問い合わせた」
これらに対して↓
- 楽太郎的には、無駄ではないと思う
- ただし、現状ではそうせざるを得ない営業状況のようである
- そうしないように改めるためには、自分がそれを実行できる立場になるしかない
このようにお応えして、締めさせて頂こうかと思います。
ホールの営業現場における
- やりたい事の実現
- 欲しい物
これらは、自分が置かれている環境で最大限努力して、精一杯手を伸ばした、そのちょっと先にあります。
簡単に手に入るものではないですが、同時にまた無茶苦茶遠い訳でもありません。
営業現場/ホール運営から離れて、会社の「経営」に近づけば近づくほど、その実現/獲得までの距離は遠くなり難易度も飛躍的に上がります。
かずは さんが置かれている環境での目標達成は、まだそこまでの距離/難易度ではないと思いますので、くじけず継続的に取り組んで頂ければと思います。
陰ながら、応援しております。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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[記事公開]
2017年9月29日
楽太郎様
お返事拝読致しました!
>酷なようですが、そうしないとクリアできない程の粗利ノルマが課されているものと推察しますので、お店の存続や社員の給与待遇等の維持のために上司の方がそうしている事だけは理解してあげて下さい。
仰る通りでして、月末になると部長から手厳しく詰められている様子を見かけることもあります。
(ひどい時ですと、社長直々の時もあります)
>不利な条件/環境/状況で出した一定の結果は、ひと昔前の同等の結果を遥かに凌ぐほどの価値がある
励みになるお言葉ですが、こういってはなんですが私の職場には、そのように見てくれる上司は一人も見当たりません・・・・
相互リンクされておられるクロロ店長様のブログで、パチンコ店の社員の将来はどんな上司につくかで決まってしまうみたいなお話がありましたが、5年勤めましたが現状では不安しかありません。
こうしたいという理想はありますが、実現が非常に遠く感じます。
何よりお客様と日々接する中で罪悪感とでも言いますか、消化し切れない思いが常にあります。
無い物ねだりですが、ブログを読ませて頂く限りですが楽太郎様のような上司の下で働いてみたかったです。
そうすれば、私の5年も、また別の5年になったのではないかと・・・・
これから早番の勤務です。
やりたい事ができるように、頑張ってみます。
このたびはご丁寧にお答え頂きまして感謝致しております。
ありがとうございました
かずは さん
同業ですのでこれ以上は申し上げません。
やりたい事ができるように、頑張って下さい。
これは非常に難しいですね。
いわゆる「かきいれ時」を放棄する判断ですから、余程の権限、会社の理解がないとそのやり方は取れないです。
それか、そうできる十分な余裕を事前に作った上で、土日を放出に充当するか。
端くれ さん
そうですね、月末までに余裕を作っておいて、最終土曜に還元度UP。
それで月初の土曜に来てもらえるような流れ作りとかなら理想的と言えるかも知れません。
素人考えでは有りますが土曜等に増えておられる客層が本当にどの様なスタイルの客層かで変わってくるのでは無いでしょうか。
日頃から設定を意識した客層なら半端に平均上げても意味は無いかと思います。
更に設定を意識しない客層には平均を上げる、思いきって6を入れる等しても期待値を積むのはスロプーがやる事で有り一般客はその日出るかどうかが問題で有りその方が打ってる時に出なければ意味は有りません。意識しない客層は意識しないのだから出る可能性の高い設定を使うのが無駄とは思いませんがやはり特別な意味は持たないでしょう。
ネット等を見るに最近の客は目も肥えており又、リスクを犯さずに出してやろうと言う我が儘で有る客が多いと思います。
個人的に印象の悪くない新基準に対するイメージがいつまでたっても上がってこないのは単に出にくいだけでなく設定が無きゃ打たない客にも問題が有るかと個人的には思ってます。
勿論それは正攻法なのですが養分になる客が居なきゃ店は成り立たないでしょう。
6も入れたいが6を入れると他が動かない、その為安易には使えない、6が無いので客は打たないの繰り返しですね。変にイベント打ってその日力入れても今後の稼働には繋がらないでしょう。中々難しい問題かと思います。
昨今のパチ屋を取り巻く環境は非常に難しく多岐に渡り問題が発生しており尚且つその全てが悪循環してるなぁと感じます。
1人の客としての考えでは有りますがベースを多少なり上げたいという方向性よりは粗利確保に向けて最善を尽くし、余剰が生まれた分をしっかり還元する店の方が印象は良いのかなと思います。有名店になればなったで軍団やスロプが集まり、引き子打ち子で抽選はめちゃくちゃ地元客は淘汰されてしまうのでやはり難しいですが頑張って頂きたいですね。
tak 0115 さん
普通に考えれば、格好を付けたい客層や今後も継続的に土日に来店して欲しい客層は普段スーツに身を包んでいる層な訳ですから、底上げしたり明らかに勝率が上がる設定56を使うのはジャグラー系になるでしょうね。
そのジャグラー系のコーナーさえも設定狙いの若者層で終日占拠されて打ち倒されてしまうようなエリアなら不幸ですが。
特に、ジャグラー系よりもハナハナ系の方が動きが良いエリアがありますが、こういった場合はハナハナを底上げすれば効果的なのかと聞かれれば、設定判別要素がより多いという観点では会社員層ではなく若者層のお小遣いに変わってしまう確率の方が高いかも知れません。
2度目の投稿失礼します。上では客目線での考えを述べさせて頂きましたが、仕事上のアドバイスになればと思い再度、書かせて頂きます。
現実と理想のギャップと言う物は、どんな業界であれ誰しもが戦うテーマで有りパチ業界に限った話では有りません。
取り巻く環境が一際厳しい状況で有る事はお察しします。しかし、かずは様の考えておられる事が偽りの無い気持ちで有れば来る時に向けて今しっかりと準備期間に充てる事こそが重要では無いでしょうか。
実現出来る立場になった時に材料が無ければ今より自由に動ける時間は無くなるかと思いますので逆に困難になるでしょう。
ギャップに困惑する事無くその信念を力に変えて実現してこそ、初めて意味を持つかと思います。厳しい言葉にはなりますが実現出来なければ、偽善者だったり上司と客との板挟みが心苦しく言い訳を考えてるだけに留まってしまうのでは無いかと私は思います。
上司が楽太郎氏で有れば等と弱音を吐かずに逆に力とする事が例え他の業界へ移ったとしても必要な事で有ると私は考えます。
大いに悩みながらまずは自分というものを大切にしつつ無理が無い範囲で頑張って頂ければと思います。
tak 0115 さん
目の前にある数字がどんなものかによって考え方や行動は変わって来るので、いざ自分が権限者になった際に、やりたい事ができるような店舗運営状況であれば良いですよね。
記事でも触れましたが、今のホール側の若手は本当に不幸で、昔なら10回失敗して1回成功するみたいな現場経験を踏む事が出来ましたが、会社の体力の問題でそこまで試行錯誤しながら経験を積ませるだけの余裕が無かったりしますから。
それだけに、今のさりげない成果、ちょっとした気付きなどは、価値が高いと言えます。