一般社団法人RCPGの設立と、依存問題対策の現状および見通しについて

今回は、依存問題に関係する最近の業界事情についてお話し致します。

 

RCPGの設立について

2017年9月4日、今後重要な役割を担っていくと目される、ある団体が発足しました。

 

それは、

 

一般社団法人RCPG

(Resourceful Center of Problem Gambling)

 

こちらの団体です。

※公式HPにリンクします

 

邦訳としては

「問題あるギャンブリングの対策に役立つ、多くの引き出しを持つ組織」

を充てている模様です。

 

代表理事は西村直之氏で、一般の方でも業界ニュースに触れた際には最近は頻繁にその名前を見聞きする機会があるでしょう「リカバリーサポート・ネットワーク(以下、RSN)」の代表を務めておられる方です。

 

以下で、ごく簡単にではありますが、今回発足したRCPGの活動内容などを紹介したいと思います。

 

<活動内容>

  • ギャンブル等依存問題に関する広報及び啓発
  • 依存問題を抱える方々への各種支援プログラムの開発と提供
  • ギャンブル等依存問題に対する多面的な対策の提言および実施
  • ギャンブル等依存問題の解決を支援するための人材育成と提供
  • 行政、学術研究機関、国内における関連他団体との連携及び情報交換
  • 海外のギャンブル等依存問題対策機関との連携

 

<今後の活動予定>

  • 専門アドバイザーによる電話相談および対面相談
  • 人材教育(予防/対策に必要な人材を育成/サポートする)
  • セミナーの開催やコンサルティング
  • 法的支援
  • 依存問題の予防対策の実施
  • 依存問題対策ソフトウェアの開発/提供

 

活動の特徴としては、

  • パチンコスロット以外の問題にも対応する
  • 面会による相談の受付
  • RSNの活動をフォローし拡充する
  • 事業者向けに、電話相談のノウハウを提供する

 

このようなものが挙げられるかと思います。

 

実質的に、提携/連携/協力関係にある機関としては、

  • RSN
  • ワンデーポート
  • 多様化する嗜癖・嗜虐行動をめぐるトランス・アドヴォカシー・ネットワーク(ATA-net)
  • 依存問題の支援に携わる人たちの勉強会(横浜、沖縄)
  • 精神科医療機関
  • 精神保健機関
  • 大学/研究機関
  • 国内外の研究機関
  • 国内外のNPO/NGO

 

これらが挙げられ、私見では

 

「依存問題に関わる既存の機関の活動を、柔軟かつ総合的にフォロー/拡充する役割を担うために設立された団体」

 

このように位置付けて良いと思っています。

 

私は当初、RCPGの設立の一報に触れた際に、

「これが、規則改正内容にあった遊技業界の依存対策を評価、提言する第三者機関か」

という認識を持ちました。

 

しかし、実際にはそうではなく、あくまでも、IR推進という国の動きによってパチンコスロットも含めた娯楽産業が否応なしにその在り方の見直しを求められている中で、専門的な観点で多面的な提言を行っていく団体という認識が適切であるように思います。

 

読者の皆さん、或いは業界内の者でも、こういった大局的な動きにはそこまで興味が無いという方もいらっしゃるかとは思いますが、このRCPGの名称は今後必ず要所で見聞きする事になるかと思い、今回記事にして紹介させて頂く事にしました。

 

さて、それでは次に、依存問題に関わる現在進行形の業界事情について紹介させて頂きます。

 

閣僚会議の内容

まずは、最近開催された、ある重要な会合の内容を紹介させて頂きます。

 

2017年8月29日

「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」(第3回)

於:首相官邸

 

[資料1]

2017年8月28日関係閣僚会議資料1

 

[資料2]

『ギャンブル等依存症対策の強化について(案)』

全71ページ

首相官邸HPにて、詳細資料の閲覧/ダウンロードが可能です。

(該当ページにリンクします)

 

 

この内容で、特にパチンコスロットに関する箇所の要旨8点を、簡単な解説も加えつつ以下に挙げます。

 

________

<業界の取り組みについて>

①RSNの活動との関わりについて

RSNへの相談件数は、ホールにおける広報/周知の取り組み推進等によって増加傾向にあるが、今後よりきめ細かな対応を実施するためには、相談体制を更に充実させる必要がある。

 

相談員の増員、相談時間の延長、RSNの対応時間外でも一定の対応が可能なように、2017年11月以降「RSN支援室」による対応時間を22時までに延長する。

 

②18歳未満の者の立入禁止の徹底

風適法に定める同禁止事項の更なる徹底のため、全日遊連では2017年5月以降、ホールの景品カウンターにおいて「年齢確認シート」を導入し、一見して18歳以上か判別が困難な場合に指差し確認を求める体制を構築した。

 

③依存者本人とその家族申告によるアクセス制限について

全日遊連では、既存の会員システムを活用して、申告金額内での遊技に収まるようにホール側が当該客を見守ったり必要に応じて警告する「自己申告プログラム」の導入を推進している。

 

同プログラムの導入店舗数は、2017年3月10日時点では452店舗であったが、8月10日時点では1,670店舗にまで増加している。

 

業界では、現時点では自己申告且つ遊技金額の設定のみとなっている同プログラムが、家族からの申告や遊技時間/回数の設定にも拡大するように検討している。

 

④遊技機の基準の見直し

2018年2月1日より施行される新規則により、射幸性の更なる抑制に取り組む。

 

⑤出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発/導入

今回の規則改正によって、依存防止対策の観点から、パチンコ機の射幸性が過度に高まる事を防止するために、出玉情報等が遊技機の基準に適合しているか確認できる遊技機を開発/導入できるようにする。

 

スロット機に関しては、業界の自主的な取り組みとして、「役比モニタ」を搭載した遊技機の設置が進められている。

 

⑥ホール管理者業務として、依存対策を義務付ける

今回の規則改正により、ホール管理者の業務に依存防止対策を追加する事が決定している。

 

⑦業界の取り組みについて評価/提言を行う第三者機関の設置

業界による依存防止対策を更に進めるため、その取り組みを評価し、更なる取り組みを提言する第三者機関のような仕組みがある事が望ましいと考えられるため、現在業界では、その設置に向けての検討を進めている。

 

⑧ホールにおける更なる依存対策について

業界では「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」およびその「運用マニュアル」を策定し、従業員教育や相談窓口ポスターの掲示、初心者への適度な遊技方法の案内などを推進している。

 

それに加えて、2017年4月より、各ホールに「安心パチンコパチスロアドバイザー」を設置する取り組みを開始した。

 

これは、講習会を受講したホール従業員に対して修了証を発行し、ホール現場において依存問題に関する相談を受けたり、必要に応じてRSN相談窓口を紹介するような取り組みである。

 

この講習会は、東京、福岡、大阪、大宮、東京(2回目)、名古屋の順に合計6回開催され、2017年8月時点では3,501名が修了証の発行を受けている。

________

以上が、2017年8月29日に首相官邸で開催された

「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」(第3回)

における、業界に関しての議題の要旨です。

 

有識者との意見交換内容

それでは、最後に、このブログに常日頃から情報提供してくれている、本件に関する有識者である知人との最近の遣り取り内容を、掻い摘んで紹介させて頂きます。

 

________

楽太郎「自己申告プログラムの導入が進んでいますが、成果のアナウンスが無いのはなぜですか?」

 

知人「具体的な全体データは出て来ていませんが、利用者数が少数にとどまっているため、アナウンスが無いのではなく、公表できないのでないかと思っています」

 

楽太郎「それでも、導入を推進しなければならない理由は、どこにありますか?」

 

知人「依存問題への取り組みの大局は、ぱちんこ業界や公営競技は、カジノ並みの対策を強いられているという事だと思っています」

 

知人「具体的な対策内容は、24時間の電話相談、排除プログラム、マイナンバーによる入場規制などです」

 

知人「現時点では、効果がある/無いは問題ではなく、カジノ並み、という点が重要であり、これは警察庁ではなく政府からの要請と言えるかと思います」

 

知人「現状では、自民/安倍一強であり、政策面では首相官邸/内閣府主導であるという認識を持っています」

 

知人「IR/カジノはアベノミクスの重要施策の一つであり、目指す姿はシンガポール型と言われています。しかも、日本版のそれはシンガポール以上の”世界最高水準”の依存対策を備えたものを想定しているように見受けられます」

 

知人「この流れで、現在国内にある”ギャンブル等”においても、カジノ並みの依存対策が求められていると認識しています」

 

楽太郎「自己申告(排除)プログラムを、実効力があるものにするためには、どのような施策が必要ですか?」

 

知人「私見では、マイナンバーと連動した全店舗共通のカードを導入するなどし、より厳格な入場規制を敷く必要があるように思います。これは自己申告(排除)だけではなく、家族による申告(排除)も含めて初めて機能します」

 

楽太郎「現時点での業界における取り組み、特に営業現場たるホール側の取り組みについて、どのように評価していますか?」

 

知人「リーダー世代も含めて、依然として受け身の姿勢で自分では何も考えない方も多いように思います。そのため、組合組織である全日遊連の取り組みが、後手後手となってしまったと言えそうです」

 

知人「カジノ並みの厳しい依存対策が警察庁ではなく政府から求められることは、昨年末にIR推進法が成立した段階で予測できていました。今回の出玉規制のように根拠のあいまいな『対策』を押しつけられる前に、社会も納得する水準の医学的・政策的に実効性を持つ依存問題対策の枠組みを業界自身が主導して構築できていれば、八方ふさがりにも見える今のような事態には至らなかった可能性があったのですが、残念です」

 

知人「できることは限られているかもしれませんが、あきらめずに、自分たちで考えて、一手でも政策の先手を打つことが必要です」

________

ここまでが、私と知人との最近の遣り取り内容の一部です。

 

まとめ

以上、本記事の前段においてはRCPGの設立について、中段では関係閣僚会議の内容について、後段では有識者との遣り取りを紹介させて頂きました。

 

業界にとっては、依存問題への対策は

 

  • やらなければ叩かれる
  • やっても、意味が無いと叩かれる
  • 一番の対策は業界自体が消える事、という極端な意見も多い
  • 業界内にも、依然として自己責任論の者も多い

 

このように、問題づくしと言えます。

 

しかし、改めて言わせて頂きますが、誰から何を言われようが、業界にはやらないという選択肢は許されていない、という一言に尽きます。

 

現時点では効果が低くとも、あらゆる取り組みは現在進行形な訳ですから、これまでよりももっとマシな業界に変わって行って、「そういう場も、あってもいいかな」「そんな趣味も、まあナシじゃないかな」くらいのポジションを得てパチンコスロットが今後も存続する事を、私としては強く望んでおります。

 

 

読者の皆さんは、どのようにお考えでしょうか?

 

 

今回は、これくらいにしておこうかと思います。

コメント頂ける方は、下の方からお願い致します。

 

 

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[記事公開]

2017年9月12日

コメント
  1. で、
    これ、どこの省庁の天下り先になるのでしょう?

    ギャンブル中毒者はどこまでも胴元の食い物にされるのですね。

    • やるせなす さん
      理事の顔ぶれ的に、医科学、社会における法律が絡んだケアに強そうな感じです。
      発足時点では、極めて民間色が強く、行政畑の人間を理事や顧問として迎える可能性は低いんじゃないかと思っています。

  2. パチンコスロット含むギャンブル全般がカジノによって槍玉になってしまっただけで権力者が自分の立場や利益の為に弱者を喰い物にするのは世の常ですがあまり明るみに成りすぎても庶民目線から言うと悲しい物ですね。

    • tak さん
      カジノと業界の関係は、どうあっても我々にとって不都合な方向に行くでしょうね。
      カジノによる税収が振るわなければ課税対象にもなるでしょうし、より一層「魅力」を削がれるでしょう。
      その「魅力」の低減がスペックだけに留まらず、換金にも及ぶ可能性は高いでしょうから。

  3. 関連記事で出て来る1月の記事を改めて読んで見ると、情報提供しておられる方はその時と同じ方ですかね?
    やっぱり、情報というのはあるところにはあって、そういう方は大局が見えている。
    しかし、一番大局を見て先手を打つべき業界は、それができていない……

    あ、ご無沙汰です。
    無事に帰国致しました。
    シンガポールの話が出てましたが、東南アジア圏は勢いありますよ!

    • タクラマカン太郎 さん
      近況のご連絡メール拝見しました。
      というか、グーグルアナリティクスでは(使いこなしていませんが…)ユーザーがどの国からアクセスしているかなども分かるのですが、毎日某国からのアクセスはタクラマカン太郎 さんからだったのか!
      などと驚いています。

  4. あくまでごくごく個人的には、ですが「河本泰信」氏と「篠原菊紀」氏のお二人が名前を連ねているところが、業界の言い訳のためだけに作られた御用団体にならないか、と不信を持ってしまいます。

    河本氏の意見は比較的業界に都合の良い方針(ちなみに数年前にアメリカではギャンブル依存症はより深刻なカテゴリーに格上げされたと何かで読んだ記憶があります)、篠原氏はパチンコ遊戯中のエンドルフィン等の脳内物質の分泌を実験で確認し、依存性を発見したにも関わらず、いつの間にか業界の代弁者のようになってしまった学者先生(某平和の台の説明で解説していたのは泣けました)。

    正直な感想としましては、「無いよりはマシだが信用が今一つできない団体」です。無論個人の感想であり、記憶違い、レッテル貼り等が無いとは言えません。

    でも今までヤンチャしてきた不良少年が今更「これからは更正します」等と言ってきても、信用できないのが人情。業界は、口やパフォーマンスだけではない、実効性のある対策を。

    しかしいつの間にかギャンブル依存症のWikipedia記事が、えらく楽観的になりました。まるで深刻な問題で無いかのように。

    • ゴンザレス さん
      両氏へのコメントは私自身そこまで活動内容に詳しくないので控えるとして、依存問題への医学的なアプローチは個人的に細々と勉強しています。
      最近読んだ論文の要旨では、ギャンブル依存の方は一発当てに行く、分が悪い勝負を選ぶ傾向が脳機能面でも立証できる的な内容でしたが、私が思ったのは家族に迷惑を掛けたりするパチンコ中心の生活習慣が、「患者」というラベルを貼ってもらう事で100%免責されるのもどうなのかな、という事ですね。

      • なるほど。患者のレッテルとしては本人は楽になれても、家族に取ってはどうなの?という話ですね。

        ただ、アルコール依存症始め、依存症はまず本人に認知させなきゃ始まらないから、患者というレッテルはある意味必要かと。家族にしてみれば地獄ではありますが、依存症は家族を含んだ病気(?)とも言われてますし。

        しかし、アルコール依存症なんかに比べれば、ギャンブル依存症はそれほど研究も進んでいないらしいので、これを機会に研究が進んでくれれば、公営ギャンブルやカジノにも応用できますから、その点では大変期待しております。

        ついでにちょっとした図書館でも資料が読める程度に世間に知られてくれれば。

        • ゴンザレス さん
          最近読んだ資料だと↓

          『ギャンブル依存症の神経メカニズム~前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害~』
          (2017年4月4日オンライン掲載 原文は英語で、私が入手したのは、研究機関の方などが要旨だけ邦訳したもの)

          ここでは、「(ギャンブル依存)患者は許容できるリスクの大きさを柔軟に切り替えることに障害があり。リスクを取る必要のない条件でも、不必要なリスクを取る」傾向を指摘しています。

          患者にギャンブル課題を用意し、テスラMRIでその課題に取り組んでいる最中の脳機能をモニタするという実験も紹介されており、前頭前野背外側部と内側部という2箇所の活動が低下して、これらがうまく結合して機能しないとギャンブル絶ちできる期間が短くなる傾向を指摘していました。

          • ありがとうございます。さすがに英文は読めませんが、とても参考になります。

            しかしホールを始め業界の方々がそういった物を読む。大変頼もしい限りです。どうにか依存症問題と折り合いつけて、上手く維持できれば・・・と願うばかりです。何だかんだいって、それなりに残って欲しいですし。

            • ゴンザレス さん
              依存問題の「適当な落としどころ」がどこなのか?
              そこが凄く気になるところです。
              そういった意味で、従来の「射幸心」に加えて「依存問題対策」という取り締まり上の「基準(とも言えないくらい曖昧なもの…)」が加わった事は、業界にとってはかなりのインパクトがある出来事でしたね。

  5. ギャンブル依存症の制限として
    入場回数制限を設けたら
    終わりですな。
    ニセの現状調査結果、年間の投資額とか
    鵜呑みにして真に受けてるとか。
    週に三回以上行ってる借金まみれの
    養分やエセエナ小僧、毎日低貸台に
    まみれるジジババがいるからこそ
    やっとこさ成り立ってる業界なのに。
    稼働激減で、調整は悪化の一途。
    時々しかプレイできないのに
    つまんねーわの負けてばっかじゃ
    余計に足が遠退くことを計算に
    入れてない。
    メーカーも団体もお気楽産業だこと。

    • レネゲード さん
      世の人々が見て、これをやったら業界は終わりだな、と思うくらいの事をしないと本当の意味での依存問題対策にはならないのかも知れませんね。
      現時点でも、たとえ低貸しコーナー専門の打ち手でも適当な遊技時間や来店回数があれば依存者とみなす流れにありますからね。
      いくら本人が趣味だと言っても、世間では病気扱いする場面もある訳で。

  6. 依存症対策の件では
    ・ユーザー含めた業界関係者と非業界人の意識の落差が大きい
    ・対策の実行は企業活動の縮小を意味するので、本質的にできない
    ・そもそも今の業界に余力が残されていない
    のでお先真っ暗ですな…

    業界潰すのが最も効果的な対策になってしまわなければいいのですが。
    そうなりそうですけど。

  7. まんなっか さん
    業界としては、取られる前に差し出すスタンスが必要なようにも思います。
    いくら縮小の流れにあるとはいえ400万台規模の設置台数がある訳ですから、各ホールが1台100円を追加で負担してRSNなりRCPGなりしかるべき対策機関に毎年提供すれば4億にもなります。

    相談員の増員や時間の拡大に充てて、公営ギャンブルより高い水準のケアが出来れば、取り締まり行政側の印象もまた変わって来る可能性はあるんじゃないですかね。

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