「最近のスロット機には魅力がない」、というイメージが既に定着しつつあり、話題の新台の大量導入に活路を見出すも大コケしてしまったというお店も見受けられる今日この頃・・・
はじめに
今回は、スペックダウンの過程で出て来ている、2016年の夏場以降に販売された機種を沢山抱えているお店の状況について、営業数字も踏まえて解説してみたいと思います。
「そんなの、解説されるまでもなく、ホールの状況を見れば分かるよ!」という方も多いでしょうが、最近はありがたい事に読者の方も増えて来て、あまり業界の歴史というか規制絡みの事情、ホール運営の状況についてあまり詳しくないという方も多くなっているかと思います。
そういった訳で、大局的な視点で、最近のART機種をメインで設置しているお店の営業は、どんなものなのか、簡単にまとめてみます。
スペック区分
まず、現在のスロットコーナーを構成するスペックについて見て行きます。
①旧・型式試験適合機
特徴:低ベース仕様、指示機能=サブ基板管理、純増2.8~3.0枚/Gが主流
機種:ゴッド、北斗転生など
②新・型式試験適合機
特徴:ベースUP仕様、指示機能=サブ基板管理、純増3.0枚/G以下
機種:デビルサバイバー、北斗強敵など
③前期5.5号機
特徴:ベースUP仕様、指示機能=メイン基板管理型AT&ART、純増2.0枚/G以下
機種:沖ドキトロピカル、戦国乙女将星など
④後期(現行)5.5号機
特徴:ベースUP仕様、指示機能=メイン基板管理型ART、純増2.0枚/G未満
機種:マジカルハロウィン5、コードギアスR2、まどかマギカ2、北斗修羅、バジリスク3など
⑤Aタイプ機(ノーマル機)、RT機
このような顔ぶれであり、将来的には、といっても2017年10月1日以降という近い将来は、5.9号機が登場する事になります。
過去記事で何度も解説して参りましたが、2017年10月1日以降の新規設置(中古での購入分も含む)はメイン基板に役比モニタを搭載しART継続性能が抑制された5.9号機しか認められません。
こういった状況で、打ち手からの支持が高い、より払い出し性能が高いスペック機を多めに抱えておきたいと考えるお店もありますが、これまた何度も解説してきた「新基準に該当しない遊技機(前述の①と②)の、段階的な撤去」という数値目標(2016年12月=50%以下、2017年12月=30%以下)がネックになっています。
そういった状況において、打ち始めの時間やゲーム性の理解度、或いは止め時も気にしなくて良いAタイプ機の存在感が日増しに高まっているというのが、スロットコーナーの現状と言えるかと思います。
実際、数十G以内にBONUSを連チャンさせる事に成功した時の出率は150%を超える場面も多々あり、そういった意味では、Aタイプ機、特にファン人口が多くお店側も適当に設定を使用しての営業が可能なジャグラー系は、究極のスペック機という見方もできるでしょう。
現行5.5号機をメインで設置すると・・・
それでは、目下打ち手の皆さんにとっては「投資金額や費やした時間に対して、得られる払い出し枚数が見合わない」スペックであり、お店側にとっては「売り上げる力が弱いが、高設定だとちゃんと出る。しかし打ち手側はそう思っていないので認識のギャップが大きい」と言える現行5.5号機の使われ方というか、営業数字の状況について簡単に解説して行きます。
仮に、現行5.5号機をメインで設置しているお店があったとすれば、その営業状況をフローで見て行けば、こんな感じになりやすいと言えます。
段階的な撤去対象機(前述の①と②)と比べて、圧倒的に売上金額が少ない
※要因:ベースUP仕様、払い出し性能ダウンにより打ち手が着かない
↓
売上不足のため、守りの設定配分になる
※要因:高設定はしっかり出る、設定1の出率設計値が高い機種が増えてきている
↓
まともな設定の挙動が出ないので、稼働が落ちる
※要因:現行機には偶数設定を示唆するものが増えており、奇数挙動且つ5と3に期待できない=1と結論付けられる
↓
客数不足で売り上げ不足になる
↓
売り上げが少ない状況で、更に守りの営業になる
また、時折まともな設定を使用しても、それを体感してくれるだけの客数が居ないのでリピートも得られない
↓
基本稼働がどんどん低下し、
- 外装および内装の大幅な変更
- 機種構成の大幅な変更
- 場合によっては、交換枚数の変更
こういった、劇的な変更を実施しない事には、巻き返しが困難な水準まで営業状況が悪化して行きます。

このままでは、やばい・・・
弱小店の現行5.5号機は、利益率が高い運用になる
上記のような感じで、仮に設置台数の多くを現行5.5号機で営業した場合に陥りがちな状況について解説しましたが、今度は数字を出して補足してみようかと思います。
これは営業規模や立地、基本稼働がどの程度か等によって差が生じますが、私見では前述の①および②、つまり打ち手が支持するスペック機の台売上水準は30,000~33,000円水準だというお店が多く、他方、現行5.5号機では15,000~20,000円水準だというお店が多いものと推察します。
こういった状況で、前述のフローで見たような弱小店では、極度な守りの営業で全力で抜きに掛かり、台粗利3,500円水準を取っていると言えるかと思います。
①および②のスペック機がメインで設置されていた時期には、台粗利4,500円水準を取っていたのに比べれば、その金額は低い事になります。
しかし、打ち手側が体感しやすい営業数値は、そのお店の利益率であると言えます。
金額の比較上は現行5.5号機の方が低くても、
- 30,000円の売り上げで4,500円を取る=利益率15%水準
- 15,000円の売り上げで3,500円を取る=利益率23%水準
このような営業状況になります。
こういった営業数字の関係性は、交流があるこちらのブログの本日付の記事で簡単に解説されているので、ご覧頂ければと思います。
【参考】『パチ屋店長のお客様応援隊』(管理人:おかず さん)
『パチンコ・スロットのファンが減ったのは、間違いなくパチ屋が悪い件。』
要は、一昔前よりも、高い利益率で営業している弱小店が増えているという事です。
私はここで、弱小店という表現を使ってはいますが、それは店長さんの営業プランが悪いと馬鹿にしているのではありません。
そういった状況に陥っている原因のほとんどは、経営者が従来的な粗利益水準の維持に拘って、非現実的な営業目標を現場に課している事だと思っています。
どう立て直す?
これまで見てきたように、現行5.5号機メインで設置していて上手くいっていないお店が、どのように営業数字を立て直していくか?
一番の愚策は、単発イベント営業で放出アピールをする事です。
稼働水準が割れたお店が設定の力に頼っても、仮に集客しても一過性のものであり継続的に来店してもらう事はできず、単に利益を無駄に垂れ流すだけに終わりがちです。
また、売り上げる力が強い、前述の①および②機種を多く抱えるかと言っても、設置比率を減らしていく事に逆行し、将来に不安を残します。
となると、やはり最近のスロットコーナー運営のテーマのひとつである、ジャグラーの増台および日常的な良設定の使用、これに尽きるかと思います。
今はまだ、「ジャグラーなんて会社員のオッサンや爺さん婆さんのオモチャだろ」くらいの認識の若者であっても、遊ぶのであればジャグラーの方が良いという時代は否応なしにやってくるものと見通します。
なので、過去記事でも触れましたが、パフォーマンスが落ちているパチンココーナーの一角をスロットコーナーに変更して、その増台分はAタイプ機、特にジャグラー系に頼るというお店が増えてくるという考えは、変わっていません。
【参考】2016年11月9日公開
『スロットコーナーを増設するお店が増えてくる見通しについて』
読者の皆さんのご近所のお店、特に小規模でも老舗と目されているお店の状況はいかがでしょうか?
以前より遊びにくくなった事に不満はあれど、老舗店は地元民から「何とか、復活してもらいたい!」そう思われている場合も多いでしょう。
私としても、そのようなお店は生き残って欲しいと思っており、どのエリアに行ってもチェーン店舗特にマルハンばかりといった未来は見たくありません。
時代の変わり目、スペックの変わり目、そして打ち手の志向の変わり目という状況で経営者の考え方だけは変わらないので、辛い思いをしている小規模店舗の店長さんも多い事でしょう。
ポジティブな見通しが立たない業況ではありますが、状況が悪くてもまだ取り得る一手は必ずあると思っているので、是非とも頑張って頂きたいと切に願いつつ、この記事を〆ようと思います。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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ホールでまともな稼働があるのは、バジ絆・沖ドキ・ジャグラーくらいですね。バジⅢ打ちましたが、チェーンが空回りしてる自転車を必死に漕いでいる感じ。(前になかなか進まない)
仕事帰りしか打てないので、ちょっと敬遠してしまいます。
4号機~5号機移行時代と全く同じ状況です。
同じとすれば、1年も我慢すれば徐々に緩和されてくるのでしょうか?
今は冬で、やがて春になりますよね
ナナベエ さん
仕事帰りの方の遊技を無視したスペック機が多いのは事実ですね。
規制緩和に関しては、行政から出たものはまず緩まないでしょう。
しかし、メーカー側が策定したスペック面での自主規制に関しては、緩めないと新台が売れなくなるので、私見ではパチンコの方は高い確率で緩みます。
また、スロットの方に関しては、期待を込めて書きますが、いわゆるナビによるゲームが1,500Gで終了して通常Gに復帰するというのはマイナスイメージですが見方によってはパチンコの定量到達打ち止め⇒現金遊技スタートで再開放という図式とも言えます。
なので、2~3時間あれば一勝負出来て大きく乗せても取りきれる、一人のお客さんの持ちメダル遊技ではなく入れ替わり易いので売上が進む、店側はまともな設定を使える、甘い運用を支持して固定ファンが付くといった好循環を生み出せる可能性はゼロではないと考えます。
一昨日、似たようなメール問い合わせを頂いて回答したばかりで、こういった事を気にしている打ち手の方も結構多いのかなと思っています。
なので、この遣り取りを記事の体裁に仕立て直して紹介させて頂くかも知れません。
なるほど、旧台がたくさんお金を使ってそれなりに帰ってくるような出方なのに対して、現行の機械はそのスペックのせいで同じような出率だとただダラダラと負けていくだけというわけですね。これじゃあ打ち手は嫌気が差してしまいますね。ジャグラー(特にアイム)は不思議なくらい、バランスが取れた台ですね。厳しいスペックなのに受け入れられている不思議。沖縄ではトリプルクラウンが未だに人気なんでしたっけ。地味に長く続く機種の秘密を知りたいものです。
獣 さん
コイン単価というデータがあり、これは各機種の遊技性能の荒さを示すバロメーターにもなり得るのですが、実際の営業現場では例えばバジリスク絆とコードギアスが同等の数値を示す事が良くあります。
でも、打ち手側は絆は2万円使っても取り戻せる場合がある、でもコードギアスは無い、といった具合にイメージします。
結果、絆はいまだに売上が伸びますがコードギアスは伸ばしにくい、なので設定が使いにくい、高粗利を生む設定配分での放置になる、こんな感じです。
いずれ遊技機の規則や内規などが緩和されてスペックアップするといった意見もありますが
風営法の改正で緩和されたことは1度もないと思ってますが間違ってますでしょうか?
5号機も初期は冬の時代でしたが、メーカーの抜け道探しで爆裂機の登場となり
規制に繋がりました。今後は抜け道すらも塞がれているように感じますが
業界歴の長い楽太郎さんの見方を伺いたいです。
通りすがり さん
規制緩和に関しては、行政側が発したもので緩んだのは私が業界入りしたここ20年前後では1度も無いですね。
スペック面に関してはメーカー団体側の自主規制なので、機械が売れなくなれば緩和されます。
前例を挙げれば、5回リミッターからリミット無し仕様への内規改正とか。
なので、スロットに関してはすぐに別の一手が出る可能性は今は見出せませんが、パチンコに関しては何かしらの緩和はあると考えます。
5号機で出玉に関して緩和されたのが小役優先制御とボーナス図柄の共通化。
そこからAT機へ抜け道スルスルだった訳ですが、純増速度規制に一撃3000枚規制と一気に締め付けが。
本音はAT・ARTは辞めろってなとこなんでしょうが、ART機の販売は止まりませんね。
シビ さん
さすがに皆さん知識があるので、5.9号機時代に突入したらその規則内で何ができるのか、できないのか、抜け道はあるのか否か気になる方が多いみたいですね。
ナナベエ さんへの回答でも書きましたが、今度時間を作って記事にして、私見を述べさせて頂くかも知れません。
記事には直接関係ないのですが、何故ここまで変えて「6号機」に名称が変わらないのでしょうか?正直①と④には結構隔たりがあるように思いますが・・・。そもそも5号機だの5.5号機だのは何処が名付けているのでしょ?
ゴンザレス さん
行政指導でほぼ強制的に規則改正だと、整数が変化しやすいですかね。
それ以外の、メーカー側(日電協)の自主規制や規則改正だと、小数点の変更で。
ひょっとしたら、メーカー団体側は、新基準に該当しない遊技機の段階的な設置比率減の目標の達成がホール側は難しい、或いは2017年12月時点で30%以下になっても行政側からまだまだ多いと判断されて、4号機の時と同じように期限を設けた強制撤去がありうると見通しているのかも知れません。
それをもって、6号機の夜明けとする、と。
整数変化すると大幅な射幸性ダウンは付き物ですから、6号機の場合は指示機能(有利区間)1500G→1000Gに短縮とか、そもそも禁止とか、あり得るかも知れませんね。
それで、頃合いを見計らって、行政側にメーカー団体が規制緩和を陳情して、部分的に認められて少し緩む、といった感じでしょうか。
ただし、カジノ案件の動き具合や警察庁が所管になった場合などは、もう緩むことは無いのかも知れません。
だからこそのジャグラー系の強化、といったところでしょうか。
ところで、これは邪推ですが、ユニバーサルが日電協を抜けて、その後はアクロスでAタイプ機を量産しているのは、こういった「AT、ART時代の終焉」の可能性を考慮していたのでは、とも思います。
ユニバーサルは今でこそサミーと合弁会社を持っていますが、元々はやんちゃ筆頭みたいなメーカーであり、パテント持ち合い組織である日電特許も脱退して法廷闘争を繰り広げていた時期があります。
要は、日電協及びそれへの加盟が参加の必須要件である日電特許が保有する技術上の特許に頼らなくても、自分でスロット機は作れるんだ、と。
もしも本当に、有利区間というものがダメになった場合、それへの依存度が高いサミーはパワーダウンし、北電子および早期に市場開拓を進めていたユニバーサルが先行者特権的に幅を利かせるという状況もあるかも知れませんね。
そういやユニバはフィリピンでカジノ運営を目指してましたね。それでロイターに汚職をすっぱ抜かれて裁判して敗訴。
そしてサミーは韓国でやはりカジノ運営。
この経験があれば、日本カジノの運営会社に認定されそうだし、この二者はもうIRをメインに考えてるからパチンコパチスロは副業くらいに考えていそう。
ま、6号機になれば旨みは随分減りそうだし、仕方ないと言えば仕方ないでしょうが。
カジノ運営は、立ち上げ時は米のサンズ(実際には子会社のマリーナベイサンズ)が担うことになりそうです。
カジノ周辺のインフラ整備まで含めた投資で幾ら、従業員の確保とトレーニングはいつからどのように、といった具体的な話まで進んでたりします。
めい さん
なるほど・・・実現の可能性という段階から、オペレートの筋道に予算と日付を入れる段階に移行した、という事ですね。
ゴンザレス さん
彼らにしてみれば、国策としての外貨獲得に寄与できるといった大義名分が立つのでカジノ事業の方が好ましいでしょうね。
うまくいけば、これまではどれだけ大きくても世の中的には日陰者に過ぎなかったのが、今後は行政側から高く評価される優良企業に成り上がれる訳で。
それが出来るタネ銭を用意してくれたパチンコスロット業界とは、旨みがなくなったらファンともホールともおさらば、といったところでしょうか。