最近、ハジメ さん、大将のらくろ さん、蕎麦打ち名人 さん等から、「不正」遊技機の撤去問題の終息に向かう2016年後半戦におけるホール及びメーカーの状況に関しての見通しは?といったお問い合わせを頂いていたので、この機会に軽くまとめて記事にしてみた次第です。
それでは、主要どころだけですが、各メーカーの状況及び2016年後半の見通しについて、ざっと私見を述べさせて頂こうかと思います。
Contents
各メーカーの状況、見通し一覧
サミー
北斗無双が確率1/319スペック機での最初の成功例となり、その存在感を示した格好。
次回作の蒼天の拳天帰に関しても、先週末時点での情報では当初見込んだ30,000~40,000台の販売を大きく上回る台数の案件が入っているものと推察され、場合によっては北斗無双に少し劣る程度の60,000台規模の実売数になる可能性もあると想定。
またスロットに関しても、北斗修羅などによって、秋口にかけてかなりの設置台数シェアを獲得する可能性がある。
ただし、このような自社に都合が良いというか見通しが良い状況では、同社は常に強気な販売スタンスを取ってきた歴史がある。
今後、抱き合わせ販売や多台数優先販売(過度な大手ホール企業贔屓)などに走れば、中小ホール企業の心象を一気に悪くする可能性が高い。
京楽
「不正」遊技機問題が明るみに出てからというもの、仮面ライダーの1/319スペックを出しただけで特に音沙汰が無かった。
直近ではテラフォーマーズを販売したが、台数的には9,000~9,500台程度の実売数と思われるため、ひとつの販売の山場を作るチャンスを逃したように見える。
この7月にはまともなスロット機種、真新しい新台の販売が無かったので、6/20のタイミングであればもっと台数を用意してもホールの入替需要を満たして、完売できた可能性は高いものと想定。
平和(オリンピア)
直近では、エリア差はあるらしいが、南国育ちを台数縛り(10台でTOP納品)販売しホールの心象を悪くしている。
また、8/1の消されたルパンに関しても、1~2台の購入予定しかないという小規模ホールにとっては、付き合いにくい条件が提示される可能性はあるものと想定。
パチンコに関しても、旧枠(猪木の時の、上部に123デザインが施されているもの)を「不正」遊技機の撤去回収問題が明らかになった直後に突如3万円程度値上げして販売し、明らかに「下取り価格をこれまでより1~2万円上げる分、販売価格をそれ以上に上げて身を切らずに済むように」という方針が見えたため、ホール側の心象を非常に悪くしている。
ユニバーサル
一時期までは小規模店舗でも付き合えるような販売スタンスであったが(1台購入でもTOP納品できる、など)、今後の有力タイトル機の次回作をチラつかせつつ機歴(機種購入履歴)販売や多台数優先販売、或いは抱き合わせ販売に走るなど、現状ではホール側の心象は非常に悪化している。
沖ドキトロピカル、ゲッターマウス、アステカ(或いは今後の沖ドキパラダイスも)などをまともな台数購入したホールの心象としては、夏場以降出てきそうな有力な新台のための機歴が作り終わっているのか否か?常に不安な状況にある。
つまり、2015年の夏場くらいからずっと先々の開発ネタとして意識させられているゴッド、バジリスク(或いは大花火)の新作を確実に入手するための準備が出来ているのかどうか?ということであるが、この先も折に触れ変な機種をポンと挟み込むようにして販売し、それも今後の有力な新台の機歴になることを匂わせながらの販売スタンスをとってより一層ホール側の反感を買う可能性もある。
三洋
「不正」遊技機問題に揺れる日工組の現職理事長である金沢氏の立場の問題もあり、最大手メーカーの一角と言えどもサミーや平和、ユニバーサルのように、ホールに対して販売上の強気のスタンスは取りにくいものと想定。
伝統的に同社の強みはミドルスペックの海であり、また甘海にも根強いファン層を抱えているため、そのニーズは今後も常に一定量維持できるものと見通す。
豊丸
良い意味でも、悪い意味でも、常にマイペース。
特に変な販売条件を付けることもなく、3,000~5,000台規模の機種を売り切るスタイルに見えるため、自社の収益面では手堅さがあり、ホール側の心象を悪くすることも無いと想定。
今後とも、通好みの古いタイトル機を手軽なスペックでタイミング良く出していくのであれば、各機種2~4台程度で構成するライトミドル&甘デジバラエティーコーナー要員としての需要がある。
そういった観点では、7月中旬のデラマイッタの販売は一定のニーズを掴んだと言えそう。
藤商事
手持ちの古いタイトル機にオールドファンを掴む可能性があるものが多いが、現状ではどれもホール側にとって営業上の貢献度が無く、また打ち手の支持も得られておらず、ホラー物の販売に頼る流れは変わっていない。
当面、設置台数のシェアを伸ばしたり、ヒット機種を生み出したりする気配は無い。
大一
直近のマジェスティックプリンスに関しては、旧MAX機全盛の時代に出していれば、ヘビーユーザーを掴む可能性はあったスペック機だったと想定。
藤商事と同じく、手持ちの古いタイトル機にオールドファンを掴む可能性があるものもあるが、現状ではホール側にとって営業上の貢献度が低いメーカーと言える。
当面、設置台数のシェアを伸ばしたり、ヒット機種を生み出したりする気配は無い。
高尾
バラエティー要員の機種をちょこちょこ販売する程度で、特に営業上の貢献度が高い、或いは低いといった印象どちらにも欠ける。
当面、設置台数のシェアを伸ばしたり、ヒット機種を生み出したりする気配は無いが、他のメーカーが手を付けてこない隙間的なスペックやタイトル機を出してくる試みには、若干の需要はあるものと想定。
ニューギン
旧MAX機時代を牽引したメーカーだけに、今後の成り行きには不安を抱えているものと想定。
慶次頼みの状況に変化は無く、今後も、設置台数のシェアを伸ばしたり、ヒット機種を生み出したりする気配は無い。
西陣
手持ちの古いタイトル機にオールドファンを掴む可能性があるものもあるが、現状ではホール側にとって営業上の貢献度が低いメーカーと言える。
当面、設置台数のシェアを伸ばしたり、ヒット機種を生み出したりする気配は無い。
三共(ビスティ)
最近のV確物やST機が主流の状況にあって、次回作の鉄拳闘神は確変ループ物で実質継続率(時短引き戻し含む)が74%超と高めのスペックで出てくるため、ホール現場にとってはかなりの需要があるものと想定。
現在のホールには北斗無双以外にまともに営業貢献する確率1/319機がないため、もしもこの鉄拳が成功例となれば、それ以降にヱヴァなどの手持ちのタイトル機を類似のスペックに載せれば一定の設置シェアを獲得する可能性はあると想定。
サンセイ
メーカーとしてのイメージ的にも収益面でも牙狼への依存度が高いため、斬~愛~焔~漢~琉といった慶次シリーズの販売に頼っていた頃のニューギンに近い状況にある。
牙狼魔戒の設置規模は11万台水準にあると想定されるが、「不正」遊技機の撤去問題でこの分を自社の機種で補填してもらうことは不可能に近く、この一件が終息した頃には大きく設置シェアを落とす可能性もある。
そうならないためには、秋口~年末にかけて、やはり1/319スペックの新作牙狼を持ってくる必要がある。
他に手持ちの強いタイトル機や全く新しいタイトル機を出してくる気配もないのが痛いが、当面は牙狼で乗り切るしかない。
初代牙狼が出てくるまでには、義経物語、六三四の剣といった大量獲得バトル物の流れがあったので、今後どこかで新たな良い流れを掴めれば面白いが、いかんせん現時点ではホール側にとっても打ち手側にとっても、牙狼以外のイメ―ジは湧かない。
・・・各メーカーの状況、見通しに関しては、ざっとこんな感じです。

2016年後半戦はどうなる?
2016年~2017年内に潰れるメーカーはあるか?
結論から言えば、前述したメーカーの中には1社も無いと思います。
読者の皆さんからしてみれば、「え!?あのメーカーの機種ってホールで全然見かけないけど、本当にそれでやっていけてるの?」というご意見もあるでしょうが、立ち行かなくなるまで追い込まれることは無い理由がいくつかあります。
その理由を箇条書き的にご紹介すると↓
①遊技機販売以外に、島設備などの別事業部の収益源がある
②パチンコ機だけでなく、スロット機の販売でも小遣い稼ぎが出来ている
③「不正」遊技機問題で致命的な負担を負う可能性が無くなった
こんな感じでしょうか。
①と②に関しての説明は不要として、③に関してはちょっとした解説が必要かと思います。
「不正」遊技機問題の着地どころ
製造業に関わる問題という括りでは、マンション建築の耐震基準違反や、自動車の燃費問題と同様に、「不正」遊技機問題が明るみに出た時点では、メーカー側に補償やリコールといった面での相当な負担が発生する可能性もゼロではなかったのが、時間が経つにつれて、いくつかの理由によってその可能性はゼロになったと言えます。
その理由とは↓
①業種柄、世論が消費者側(この場合はホール)を被害者と認めていない
②監督官庁である警察庁生活安全局保安課は、当初「検定を受けた後の不正でありメーカー責任」と断じたものの(小柳課長講話)、すぐに「メーカーはホールの要望に適うような機種を販売した」(大門課長補佐講話)として、メーカーとホールの責任の共有を図った。
③A社の「不正」遊技機は、A社が全て自力回収するという流れが否定された
④撤去回収費用、入替用の機種をメーカー側の負担で用意するという流れが否定された
これらが挙げられるかと思います。
特に③と④は重要で、実質的には一部のメーカーにとっては入替特需のような状況にもなっていくと見通します。
もちろん、必ずしも全てのメーカーが得をする訳でもない理由は、前述のように各社ごとの状況が異なっているためです。
牙狼魔戒の撤去でサンセイが失う設置台数シェアを、身の丈経営で無理なく売り切れる販売台数設定でマイペースの豊丸が急に張り切って数万台規模の新機種で補填して特需になるとは誰も思わないでしょう。
2016年後半に、得するメーカーと損するメーカー
入替特需となり得をするメーカーは、サミーになるでしょう。
北斗無双で確率1/319機の最初のヒットを生み出し、出来不出来関係なく、次回作の蒼天の拳天帰や北斗修羅、或いは偽物語/北斗のAタイプ機といったネタを持っているので、2016年内で見れば状況的には非常に良いものと推察します。
また、損をするメーカーに関しては、前述のような流れで見れば、特に経営上圧迫されるメーカーは無いので、なし、とも言えます。
しかし、例えばサンセイが牙狼の次回作で大コケしたりすれば、これまで旧MAX機時代に築いてきた地位を一気に失う原因になります。
また、京楽や平和にしても、いつまでも仮面ライダーやウルトラ兄弟、猪木、ルパンでやっていける訳でも無く、コンテンツ的な飽きというリスクは抱えています。
それが2016年内に訪れることまでは無いかも知れませんが、これまでの開発販売の仕方の定番パターンが崩れる可能性は秘めていると思います。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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