今回は、ニュースやweb上でご覧になったという方も多いと思いますが、検定時と異なる釘の状態で販売された可能性がある遊技機=「不正」遊技機問題に関する国会での遣り取りについてまとめてみましたので、ご紹介致します。
遣り取り上、重要度が高い箇所には強調/色付けするなどして読みやすくしてあります。
また、実際の遣り取りは、くだけた言い回しであったり、同じ語彙でもその都度表現の仕方が異なったりするので、今回の記事ではより説明的に編集したり、言い回し(単語)を統一するなどして、読みやすくなるように心がけました。
それではご覧下さい
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Contents
衆議院内閣委員会での遣り取り
以下、平成28年4月27日(水)
衆議院内閣委員会 にて
<民進党 高井氏>
私は旧維新の会に所属しており、IRを推進する立場であった。
同時にギャンブル依存対策をしっかりとやっていかなければならないということで、これまでも何度か質問してきた。
ギャンブル依存症の約8割はパチンコに起因する。
2016年3月3日に質問主意書を出したが、それに対する回答が十分では無かったので、今回この場で質問することにした。
厚生労働省の発表によると、ギャンブル依存症の疑いがある日本人は536万人おり、その内8割がパチンコ依存症だというデータがある。
この背景には、1人あたりの消費金額が大幅に増加しており、これには射幸性の向上が大きく影響しているのではないかと考えている。
パチンコの射幸性の向上とパチンコ依存症問題の深刻化、この関係について警察庁はどのように考えているのか?
<警察庁生活安全局長 種谷氏>
パチンコは営業の行われ方如何によっては射幸心を著しくそそるおそれがあるので、風営適正化法によって必要な規制が行われている。
警察としては、パチンコの射幸性と依存症の関係について回答する素材を持ち合わせていない。
パチンコ業界はのめり込み問題への対策の必要性、重要性を理解して積極的に推進することが重要であると考えており、パチンコに対して問題を抱える者からの電話相談を受ける機関であるリカバリー・サポート・ネットワークの取り組みが認知されるように広報啓発活動を行うなど、各種対策に積極的に取り組んでいるものと承知している。
警察としても、引き続きパチンコ業界を適切に指導していきたいと考えている。
<民進党 高井氏>
去年(2015年:平成27年)、遊技産業健全化推進機構が実施した遊技機性能調査の結果によると全国161店舗、258台を調査した内、検定機と同じ性能の遊技機は1台も発見されなかったが、このことは知っていたのか?
遊技釘の傾きを不正に変更して射幸性を向上させる改造が業界に蔓延していて、適切な遊技機はほとんど存在していなかったという調査結果だったのではないかと考えているが、そのことについてはどのように受け止めているのか?
<国家公安委員長 河野氏>
この結果は、極めて問題である。
型式検定を受けた性能と全く違う物しかなかったというのは、忌々しき問題である。
メーカー団体はこれらの遊技機は早急に全て回収すると言っており、遊技産業健全化推進機構も抜き打ちで性能の調査をするということになっているので、違反が無いようにしっかりと見ていく。
また、万が一にも同じようなことがあった場合には、メーカーに対しては型式検定の取り消し、ホールに対しては営業停止処分を含めた行政処分を実施することを含めて、厳正に対処していく。
<民進党 高井氏>
予想以上に力強いご答弁を頂きありがたい。
これだけ不正改造が蔓延している現状においては、風営適正化法に定める著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準に違反した高い射幸性があるパチンコ機が、多数設置されている可能性が高い。
業界の健全化のためには警察の日常の監視、取り締まりが大事だと思うが、風営適正化法に定める基準に適合しているか確認する手段というものはあるのか?
また、警察だけでなくパチンコのユーザーも確認できればより良いと思うが、そういった方法は現在あるのか?
<警察庁生活安全局長 種谷氏>
警察においては、検定の段階で技術上の規格に適合するか否かを確認している。
パチンコ営業所に設置する場合においては、承認申請の段階で確認している。
また、警察は風営適正化法の規定により、パチンコ営業所に立ち入り検査をすることが出来る。
警察としては、これらの権限を適切に行使するなどして、適正な遊技機による営業がなされるように努めてきた。
風営適正化法上では、ユーザーにおいて、遊技機が風営適正化法の規格に適合するか否か確認できる制度はないが、著しく射幸性が高いと思われる遊技機に関して、警察に通報等を行うようなことはできる。
そのような場合は警察による対応を促すことになるわけであり、そういった対応は可能である。
<民進党 高井氏>
今のご答弁だと、検定を受けているから大丈夫なのだとしているが、検定を受けた物が実はその後に改竄されて納入されていたというのが遊技産業健全化推進機構による調査の結果だと思う。
また、警察が立ち入り検査ができるということだが、その時に遊技機が検定時のルール(出玉率など)に適合しているか否か、調べようがないと思う。
ユーザーも、あまりに出ない、この機械はおかしいからと通報するということだが、それも現実的ではないように思う。
私が提案したいのは、業界ぐるみで不正改造が繰り返されてきた事を今後防止するためには、業界だけに任せるのではなくて、第三者であるユーザーも含めてチェックする仕組みが必要だと思う。
私は、現在のパチンコ遊技機は、スピードメーターが無い自動車だと思う。
メーターが無いので、違反しているかどうか、出玉がどれくらいだとチェックしようが無い。
チェックしようが無い遊技機が設置されている現状はおかしい。
なので、著しく射幸心をそそるおそれがある遊技機の基準に違反しているか判別できるモニタリング装置、自動車で言うスピードメーターのような物を付けるべきだと思う。
これは、1台5千円くらいで取り付けられるとのことなので、このような装置を付けることを義務付けする必要があると考えているがどうか?
<警察庁生活安全局長 種谷氏>
高井氏が言うところのスピードメーターに相当する装置を導入することも、技術的には一つの方法であるとは思うが、風営適正化法はパチンコ営業者等の風俗営業者を規制する法律であり、ユーザーが同法の規格に適合するか否かを確認することができる制度を設けることは想定していない。
現時点では、そのような装置の取り付けを義務付けることは考えていない。
<民進党 高井氏>
メーカー団体である日工組は、問題になっている遊技機の自主回収を段階的に進めていくと言っている。
国家公安委員長河野氏は先ほど、早急にと力強く仰っていたが、これらの回収は何年か掛けて段階的に進められるという表現をしている雑誌もあった
不正に改造されて射幸性が高くなった遊技機が大量に出回っていることが調査によって明らかになったわけだから、業界が段階的に回収することを警察が黙認するのならば、それはパチンコ依存症問題を放置、拡大することにも繋がると考えるがどうか?
<国家公安委員長 河野氏>
違法な遊技機が大量に出回っているのは承知している。
かなりの量なので一遍にというわけにはいかないが、最大限速やかに撤去するのは当然である。
メーカー団体にはきちんと回収するように指導し、ホールには遊技産業健全化推進機構にきちんと抜き打ちでチェックして頂き、違反があればメーカーに対しては型式検定の取り消し、ホールに対しては営業停止を含む行政処分を科すという警察の意思を明確に出していきたい。
<民進党 高井氏>
質問内容はこれで終わりだが、少し時間があるので最後にもう一度お聞きしたい。
先程私が提案したスピードメーターに相当する物に関して、別にユーザーが逐一チェックしなくても良いが、警察が巡回した時にはやはりメーターがないとチェックしようがないと思っている。
多少メーカーの負担になるかも知れないが、そのことでルールが守られギャンブル依存症が無くなっていくことが、ひいてはパチンコが社会的に認知され業界の発展に繋がると考えている。
是非、このメーターの設置を前向きに検討して頂きたいのだがどうか?
<国家公安委員長 河野氏>
自動車は、運転者がスピードが分からないと、どうにもならない。
パチンコは、ユーザーがスピードをチェックするものなのかどうか、よく分からない。
何らかの方法できちんとチェックができるようなものである必要はある、とは思っている。
あまり前向きな答弁にはならないが、これは極めて大きな問題であるとは認識しており、警察もしっかりと対応していく。
<民進党 高井氏>
十分に前向きな回答を頂いたと思う。
本当にこのメーターはそんなに難しい物ではなく、専門家が良いと提案している物なので、前向きに研究して頂きたい。
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上記の通りの内容です。
大分長くなりましたので、この遣り取りに関して私がどのように考えているかなどは、また別の機会に書かせて頂こうかと思います。
また、依存症(のめり込み)問題に対しての私の考え方に関しては、過去記事をご覧頂ければ幸いです。
※参考:2016年5月9日公開 『依存(のめり込み)問題を業界はどのように考えているのか?』
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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釘曲げが違法で、それを放置するから射幸性を煽り、依存症が増える。台が悪い、日工組が悪い、という最もらしい事をおっしゃるが、根本的に問題を間違えていると思います。三点方式を知らないと黙認し、パチンコをギャンブルと認めていないのであれば、そもそも依存性となることはないはずです。換金できる、だからこそパチンコからギャンブル依存症になる、それをお上が認めないことが問題です。依存症となる背景を作り上げた根源を正さなければ、釘曲げやスペックダウンで規制しても、ギャンブル依存症を減らすことはできないでしょう。話が逸れますが、会社とは競合と差別化が必要で、生き残りを掛けて戦うもの。例えば車は燃費や性能を法規制の中で差別化し、より売れるよう思考し、競争することで繁栄衰退を可能としています。しかし、同じ会社でもパチンコ経営は全く同じ性能、同じ商品(遊技機)でなくてはいけない、とおっしゃる。なぜ業界が違うだけで、法規制がこのように異なるのか、それは結局パチンコはギャンブルだと黙認しており、ギャンブルに不公平があってはいけないから、競争が起きてはならないと分かっているからでしょう。となれば、解決すべき問題は簡単で、本気で依存症を減らすのであれば行政も辛酸を舐めなければならいと思います。個人的には3つの方法で介入すべきかと思います。1、パチンコはギャンブルであると認め、競馬のように国営化することで法規制を明確にする。2、パチンコはギャンブルと認めないのであれば、三点方式の換金行為を辞めさせる。3、現状維持で三点方式を黙認するならば、各店舗が競争差別化を図れるよう法整備を改めなければならい。
以上、好き勝手に一個人の思いを書かせて頂き、失礼致しました。パチンコユーザーとしては釘固定となるなら、スロのように同じ機械でも設定が変更できるようにして、店舗別に差別化ができるようにしてもらいたいと思っています。パチンコユーザーは、店選びも楽しみの一つであることを忘れないよう、規制の中身を考えてもらいたいです。最後に楽太郎さん、ブログ更新頑張ってください。
一般ユーザー さん
パチンコとの付き合いが長かったり、観察力が鋭かったりする方からのコメントやお問い合わせに共通するな、と思っているのですが、皆さん問題の本質を突いて来ます。
日々の/お店ごとの営業や遊技機のスペック、諸規制などがどうの、ではなく、ほとんどの問題の根本にあるのは、パチンコってそもそもどんなものなんだっけ?ということです。
一番初めのうちは、大衆娯楽とさえも意識していなくて、遊んだ結果が何かの物に換わるくらいの認識であったはずです。
それを、政治の分野でも、この業界でも、先人達がかなり大らかというか「いいじゃん」「やっちゃえ」「問題が発生すれば、その都度対策すればいいや」的に場当たり的な感覚でやってきたことのツケが今になってまとまってやって来たという感じだと思います。
それで良い思いが出来たのは1950年代から70年代初めくらいまでの生まれの世代であり、1970年代の後半以降の生まれだと、社会人になってからは業界の縮小や度重なる規制しか経験していないという人も多いことと思います。
私のような40代なら、業界がこのような体たらくになってしまったことへの関与は多少はあるかも知れませんが、30代以下の業界人には責任は無く、政治や警察の分野の同年代にも同じことが言えるかと思います。
要は、大元の原因を作り、流れに任せてその都度対処してきた世代の後処理を、全く知らない世代が実行するという図式です。
換金の是非やしっかりとした法規制に関しては、おそらく直近10年以内にはどの方向にも動かないでしょう。
現状では「釘調整」への表立った口出しという虎の尾を踏んだ格好ですが、では実際に世界的にも比較対象を見つけづらいとされるパチンコなる珍獣を、上手い具合に導くか?ガッチリと捕獲して調教するか?それとも、扱いに困るからやっつけてしまうのか・・・
それを任されるというか、対応を丸投げされるのが若い世代というのでは、あまりに酷です。
現職の国家公安委員会や警察庁生活安全局、或いは業界のtop達がどのように振舞うのか、下の世代である私としては自身にも影響があることですので、非常に興味があります。
今回は、コメント頂きありがとうございました。
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