パチ屋に関係する諸規制の出発点と現在地-その②「高さ規制」

前回の記事では、パチ屋絡みの諸規制がどんな流れで決まっていくのかについて書きました。

 

前回(本シリーズの導入部分)のおさらい

前回解説した通り、諸規制に関しては、

 

・取り締まり行政側から通知されたもの(原本)

・業界団体(全日遊連や日工組など)が、各組合員向けに分かり易く解説したり質疑応答したもの(解釈基準/ガイドライン)

 

この2種類に大別できます。

 

まだ、読んでいないという方は、短い記事ですのでこちらからご覧頂ければと思います。

【参考】2016年10月31日公開

『パチ屋に関係する諸規制の出発点と現在地-その①』

 

それではいよいよ、これ以降は、具体的に各項目別に

・規制が出て来た時点での通知内容=「出発点」

・2016年11月時点での状況=「現在地」について解説していきます。

 

これによって、項目によっては厳格に守られているものがある一方で、規制として全く機能していないものがあったり、そればかりか規制が出てくる以前よりも営業のやり口が悪化(巧妙化)したものまである現状が見て取れるかと思います。

 

今回は、店内の構造及び設備に関する規制=業界内では、概ね「高さ規制」などと呼ばれているものについて解説していきます。

 

「高さ規制」の出発点

まず、規制の原文、つまり警察庁生活安全局保安課課長が、関係各所に通知した書面の冒頭部分を画像データで添付します。

高さ規制

いわゆる「高さ規制」の通知書面の表題

 

通知の宛先には、各管区警察局広域調整担当部長、警視庁生活安全部長、各都道府県警察(方面)本部長と記載されていますね。

 

なぜ、各所に通知する必要があったのか?

 

それは、本通知書面の最後の方に記載してありますので、原文のまま引用します。

 

営業所の構造及び設備の維持義務に対する違反状態については、速やかに解消される必要がある一方で、これを是正するための行政処分の実施に当たっては、その擬律判断について、同一県内又は隣接他県との間で説明責任を果たせないまでの差異が生じることがあってはならない

 

このように、ご存知の方もいらっしゃる通り「エリアや所轄によって、見解や対応がまるで異なる」場面も多々ある取り締まり事情な訳ですが、行政処分のような重い判断をするにあたっては、それがどの法律に基づいて下された処分なのか明確にする(つまり、擬律判断する)ために、本通知を出した事が分かります。

 

取り締まり行政側としての、統一見解を持とうね、という事ですね。

 

「高さ規制」によって、一番影響が出るのは・・・

それでは、規制の内容に進んでいきます。

 

まず、この規制が、業界のどの部分に影響を与えるかについて、結論を書きます。

 

それは、ホールの店内、特に札や旗、立て看板などの設置場所/サイズなどに対して、多大なる影響を与えます。

 

通知文を分かり易く噛み砕いて、読み解いて行きます。

 

近年の営業競争の激化を背景に、ホール内に広告物を設置したり、分煙意識の高まりを受けて分煙パネルを設置したりするなど、ホール内に置かれる設備が形状、内容共に多様化している

 

このような状況で、

 

ホール内に設置する事が禁止されている「見通しを妨げる設備」について、より適切な指導及び取り締まりを図るために、各都道府県警察の判断に斉一性を持たせる必要が生じている

 

概ね、こういった内容が記載されています。

 

なぜ「見通しを妨げる設備」があってはならないのか?

これには、2つの理由があります。

 

ひとつは、緊急時などに際して、消防法上の避難経路を確保し辛いと見做される場合がある事、そしてもう一つは、風適法(風営法)上の、善良な風俗が害されるような逸脱行為に発展するおそれがあるという理由です。

 

本通知では後者の理由を明記しており、まあ分かり易く言えば、

 

「風俗営業というのは、人の欲望に訴求する性質がある業態なので、隠れていかがわしい事や悪事をはたらく可能性があるから、客室内は見通しを良くしないとダメだよ」

 

こういう事になるかと思います。

 

「見通しを妨げる」、「妨げない」の基準は?

これについては、本通知内で基準となる数値や実物例が明記してあります。

 

高さが、概ね1m~1.7m

この範囲内に設置してあるもの、もっと言えば張り出して設置しているものに関しては、注意が必要という事になります。

 

先に、警察庁生活安全局保安課がより分かり易く図示した資料をご紹介します。

 

法律や行政絡みの書面にはありがちですが、「~を除く」「ただし、~は含まない」といった回りくどい文言がありますが、こういう設備なら可/不可という基準が具体例を挙げて説明してあります。

説明図

説明図

 

ここで、この通知が出て来た時に、ホール側で最初に注目が集まった点について考えてみます。

 

「挿し札」はどうなるのか?

 

図の左中段には、下端の高さが1.7m以上に設置してある「旗」は見通しを妨げる設備に該当しない、とあります。

 

また、右中段には、無色透明の仕切り板等であっても、ポスターなどを貼り付けるなどして不透明になれば、それは見通しを妨げる設備にあたるとしています。

 

これらを読み解けば、印刷物をラミネート加工(パウチ)してカットした挿し札類を、高さが概ね1m~1.7mより低い範囲の場所に設置する事は、見通しを妨げる行為とみなされる、このようになります。

 

もちろん、左下段のワゴンの説明書きにもあるように、札程度であれば「用意に移動や取り外しができるもの」と区分できない事もないですが、常態的に移動させられるかといえば、ちょっと解釈が分かれるところです。

 

なので、前回の導入記事でも触れましたが、解釈が分かれるものや、取り締まり行政の通知に明記まではしていないものに関しては無難に扱うという原則で、挿し札類に関してもその下端は1.7m以上になるように留意して使用しているお店がほとんどと言えます。

 

読者の皆さんのご近所のお店でも、ある一時期以降は、これまでデータランプの左右どちらかの場所に堂々と出っ張るようなサイズで挿してあった札類が、かなり高い目線の場所に移動した、或いは無くなった、という場面があるかと思います。

 

これには、前述したような経緯があった、という訳です。

※もちろん、札類に関しては、高さ規制以前に広告宣伝規制の影響を強く受けるので、この台やコーナはこうですよと示唆するような内容の札は使用し難いので姿を消していったとも言えます。

 

ちなみにですが、一番見通しを妨げているのは島自体じゃないか、というご意見もあるかと思います。

 

これに関しては、営業の用に供するための遊技機/周辺機器を設置している限りにおいては、見通しを妨げる設備とは見なさない、と例外的に明記しています。

 

ただし、反対の言い方をすれば、遊技機/周辺機器を全て撤去した島は、営業の用に供しないただの遮蔽物として、違反扱いとなります。

 

規制の現在地

細かく書くとキリがないですが、本規制に関しては、ざっとこのような内容で出てきたと言えます。

 

それでは、それから5年後の2016年現在、ホールの営業現場はどのようになっているでしょうか?

 

これには、3つのポイントがあると思ってます。

 

①概ね●mという基準が、より一層曖昧化

②立て看板、イーゼル、簡易POPスタンド、立体装飾物などの設置の仕方が曖昧化

③取り締まり行政側のチェックの度合いにエリア差が生じている

 

この時点で、読者の皆さんは「ああ、結局、こうなるのね」といった印象を持ったかと思います。

 

私は、適当にこの3点を挙げている訳ではなく、時間拘束されていない役職柄、色んなエリアを探訪する機会が多いため実体験として挙げています。

 

その訪問先で、その土地土地のホールにお邪魔してどのような営業をしているのか視察したり、実際に軽く打ってみたりするのですが、もう完全に高さ規制を無視した札/旗類の使用の仕方をしているお店を目にする場面も多々あります。

 

もっと言えば、各地に手広くチェーン展開しているようなホール企業店舗であっても、そのお店があるエリアはそこまでチェック目線が厳しくないからそうしているのでしょうが、中央通路に結構な高さの立て看板や立体装飾物を置いていたりしますので、やはりこの規制は段々と破られて来ているものと推察します。

 

或いは、新任の役職者や店舗管理責任者であれば、本規制の内容をしっかりと把握していない可能性まであるかと思います。

 

もしも、近々ホールに足を運ぶ予定があるという方は、今回記事にした内容を踏まえて、店内の設備に目を向けてみて頂けたらと思います。

 

そうすれば、より一層、本規制の現状が理解できるでしょう。

 

 

今回の「高さ規制」に関しての解説は、これくらいにしておこうかと思います。

コメント頂ける方は、下の方からお願い致します。

 

次回の『パチ屋に関係する諸規制の出発点と現在地-その③』では、「来店ポイント」に関わる規制について、解説する予定です。

 

 

「分かりやすかった!」、「次回の③記事も、読んでやるか!」という方は、そっと押して下さると嬉しいです。
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コメント
  1. 本日も勉強させて頂いております。

    当方のクライアントも床置きPOPや上部ナンバーランプ横から延びるアンテナPOPの高さに関して、
    一時期よりかなりなぁなぁになってきている感触がございます。

    私も生半可な知識ではございますが、一応念のため、

    『これ(高さ)大丈夫ですか??』

    と確認するのですが、根拠があるのかないのか、近隣店舗がやっているからなのか問題なしとの回答が返ってきます。明文化されない文化はいつまでもこの業界に生き続けますね。そしてどこまでいけるかのチキンレース。一人でも失敗したら皆負けるという何とも言えない結果があるというのに…。
    それもまた一興、と最近言えないんだよなぁ…。

    • 読者何某 さん

      まさしく、最近の記事でも書いた「グレーゾーンの追求」文化ですね。

      手元にある情報では、最近では、天下一閃における「5~6分で4,500個オーバー」、「新基準一発台」といった文言での大量獲得&スピード感を謳った告知や、タイガーマスクにおける「RUSH継続率約99%」や「新基準MAX機」などといった文言での告知をするかどうかで店舗間の稼働差が生じたという情報もあります。

      たしかに、店頭POPや札/旗にそのような強い文言が記載してあれば遊技意欲をそそられますし、「いざ、短期決戦!役物抽選機登場」や「SANKYOから新感覚RUSH機登場」とだけ告知するかでは、特にライトユーザー層の稼働には差が出る訳で。

      そして、それらの告知物を目立つ場所に用意しようとすれば、規制に引っ掛かるギリギリの高さや大きさの物になる場面もあり、攻めるかどうか迷ったお店も多いものと推察します。

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