今回は、昨年2016年(平成28年)の、健全化センター(都遊連)の活動内容をご紹介します。
Contents
解説
まず、ここ最近の健全化センター(東京都)、ほか各道府県におけるホール営業の健全化に関わる指導を行う組織における無通知/無作為の立ち入り調査、また警察庁本庁(東京)や県警本部、所轄などによる立ち入り調査時の特徴をお話します。
①店内広告物(装飾物)や設備面への指導
広告宣伝物の記載内容はもちろんですが、いわゆる「高さ規制」に違反するもの、見通しを妨げる設備への指摘なども依然多いと言えます。
これは、景品カウンタースペースや一部の休憩スペース等に関しても例外ではなく、客室内における立体装飾物や掲示物全般に対して、かなり厳しい目でチェックされたお店もあり、メジャーを用いて数cm単位で計測されて違反の指摘を受けたお店もあります。
ただ、最も件数が多く目立つ事案は、やはりイベント営業等による射幸心をそそる営業手法への指導であるという状況は、変わってはいません。
また、営業状況の悪化により、これまでよりも一層激しい告知で臨むお店が増えているエリアもあるという情報もあります。
②遊技機の劣化への指摘
パチンコスロット共に新基準機の支持率があまり高くないという事情、パチンコにおける撤去問題や「新基準に該当しないスロット機」の段階的な設置比率減の流れも相まって、中古機を積極導入したり、長らく設置している旧台では2010年前後くらいから現役稼働中というものもあったりする都合上、かなり劣化した遊技機が全国のお店に存在している状況です。
これにより、プラスチック部分の破損、金属部品の欠損、ハーネス等の封印帯の脱落といった具合に、検定時と異なる状態や「不正」を疑われても仕方ない状態に劣化してしまっている遊技機に対して、是正指導や行政処分が下されている模様です。
③釘調整に対する通報
最近の「不正」遊技機の撤去問題や、行政も絡んだ「賭博か遊技か」という問題意識が世間一般へも広まっている状況から、打ち手側が手持ちのデジタルツールで悪質な釘曲げや玉の首吊り画像などを資料として、各都道府県のしかるべき組織に直接的に通報するという事例も増えている模様です。
こういった事情も相まって、警察庁から立ち入り調査を要する業務の一部の委託を受けて活動している遊技産業健全化推進機構による、「一般入賞口に、玉が全く入らない遊技機」の是正指導事例、も依然として多いと言えます。
パチンコはお金が絡んだ遊びである以上、負けた事への腹いせ的な通報も多い模様ですが、その中にはやはり真実も沢山含まれており、営業状況が厳しいお店や遵法意識が低いお店が、従来よりも一層「渋い」釘調整で臨んだ結果、このような事態になっているものと推察します。
以上、昨年の健全化絡みの状況の特徴を3点挙げさせて頂きました。
※これ以外にも、ハンドル固定に対する注意/指導も大変厳しくなっていたり、本来は部品交換に必要な書類を提出するべきところを無断で行っていた事に対しての指導など、チェック目線の強化は多岐にわたります。
それでは、以下で、
2016年(平成28年)都遊連健全化センターの活動内容一覧
こちらを紹介させて頂こうかと思います。

本当に反省してる?
2016年(平成28年)都遊連健全化センターの活動内容一覧
[活動状況]
情報入手件数:637件
立ち入り調査
- 遊技機調査:217店舗、232件
- 営業実態調査:133店舗、172件
- 電話、管理責任者招致等による是正指導:738店舗、916件
- 各単位組合の定例会合等への出席による注意喚起、指導等:52件
[遊技機調査による指導内容]
是正指導件数:19件
- 基板/ロム封印シールの開封跡:1件
- セレクターの部品欠損:7件
- 極端な釘曲げ:3件
- 実際に遊技調査して、一般入賞口への玉の入賞が無かったもの:8件
[立ち入りでの営業実態調査による指導内容]
是正指導件数:19件
主な事例
- 島の高さ1.7m未満の位置に挿し札を設置していた
- 1m以上の広告物や、1.5m以上の景品陳列棚を壁につけずに設置していた
- 島端に不透明な風防設備や張り紙を設置していた
[遊技料金等の規則に対しての指導内容]
是正指導件数:12件
主な事例
- クレジットカード専用の券売機から購入したICカードの貸玉料金と、現金遊技時の貸玉料金が異なっていた
- 貸玉レートごとに、異なった価値で金景品を提供していた
- 一般景品を、市場価格よりも割り引いて提供していた
- 一般景品を、ビニール袋等に詰め放題で提供していた
[風適法違反が疑われるものへの指導内容]
是正指導件数:905件
内訳一覧
- 出玉を想起させるイベント告知:660件
- 高設定を窺わせる表示:173件
- 出玉の誇示:22件
- 総付景品等のガイドライン違反:29件
- その他:21件
主な事例
- 有名人や攻略誌等のライター招致告知
- 特に理由も無く、特定日のみ時差開店
- 空チラシ(新装開店や店休を伴う時差開店等以外の、集客目的での告知チラシ)
- 抽選入場期間を記載した整理券の配布
- 特定日に普段とは違う制服を着用
- 特別な挿し札やイーゼルを設置
- ブログ/メール/SNS/専用アプリ等で隠語を使用する等してイベントを告知
- 会員メール/ブログ/Twitter/Facebook等での隠語による台番号や設定の示唆
- 特定機種に特別な挿し札/パトライト/椅子カバーを使用しての、おすすめ告知
- コンパニオンによる口頭での機種誘導
- 朝一リール並びや箱の置き方による設定示唆
- 出玉を誇示するような別積み
- 空き箱を積み上げて、実際よりも多く出玉があるように見せる
- パトライト等を設置して、派手なデコレーションを行っていた
- 湯茶以外の飲料の無償提供
- 連日にわたる道路上でのティッシュ配布
- 総付景品の詰め放題
- 特定の客にのみ景品を配布
- 月2回以上、または200円を超える物品の提供
- 主食となり得るような惣菜パン等の提供
- 集客目的で、特定日に店舗敷地に屋台を設置
- 無料肩揉みサービス等の役務の提供
- 誇大広告 など
[景品の買い取らせ行為に対する指導内容]
是正指導件数:8件
- 交換率を窺わせる表記
- TUCショップへの案内図の掲示 など
[その他の指導内容]
調査/是正指導件数:144件
内訳一覧
- 適切な景品提供の徹底:34件
- 客からの苦情処理やホールからの相談案件:25件
- ファン感謝デーにおいて、独自のポスターを使用していた:10件
- チラシ等への、のめり込み防止標語の挿入について:8件
- 道路の不正使用:3件
- 商標/肖像権の侵害:2件
- 景品数の取り揃え不足:1件
- その他の調査:61件
主な事例
- 平成27年9月に、都遊協定例理事会で議決された「適切な賞品提供の徹底について」という取り決め上の、金景品提供価格下限、貯玉再プレー引き出し個数上限の遵守や違約などの調査および指導
- 客とのトラブル仲介
- 客が不審を抱いた遊技機に対しての検査
- ホールからの相談
- ファン感謝デーに独自のポスターを使用していた
- 新聞折り込みチラシに、のめり込み防止標語が縮小/改変されていたり、全く挿入されていなかった
- 道路に広告物を設置していた
- 「ポケモンGO」のキャラクター「ピカチュウ」の無断使用
- 東京ドームの写真を無断で合成改変していた
- 店舗で提供している景品数が250種類以下だった
- 金景品、「不正」遊技機の撤去、いわゆる「業界等価」などに関する調査 など
まとめ
以上、
『2016年(平成28年)都遊連健全化センターの活動内容一覧』
と題して、その内容を紹介させて頂きました。
毎度ですが、取り締まり行政側のスタンスには、各都道府県によってとにかく厳しいところもあれば、ほとんどこれまでと変わらない簡易なチェックで済んでいるところもあるといった具合に、エリア差がある模様です。
ただ、特に厳しいエリアでは、県警本部(或いは警察庁本庁)と所轄が合同で立ち入り、その場で違反を指摘されて行政処分に至ったという事例もある事から、「ウチのお店のエリアは普段から緩いから平気だ」などと高を括っては危険です。
業界に対する打ち手側の目も大変厳しいものになっている事を改めて認識すべきと言え、今回紹介した内容をご覧頂ければ一目瞭然ですが、この期に及んでも堂々と規制や取り決めに違反した営業を行っているお店は非常に多いと言えます。
これは店舗間競争が激しい東京都の事情だと限定的に見るのか、或いは全国のホール事情の表れだと見るのかによって、かなり捉え方が異なって来ますが、いずれにしても、「警察を甘く見てはいけない」とだけは断言できるかと思います。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
コメント頂ける方は、下の方からお願い致します。
[記事情報]
2017年2月10日(金)
10:40公開
「近所のお店は、規制が強化されたり釘問題が出てくる前と、少しも状況は変わっていないように見える!」、という方は、そっと押して下さい。
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本当に多岐に渡るんですね。
「当たり前だろ(失笑)」と思うものから「これも駄目なの!?」と思うようなものまで。
個人的には「一般景品を、市場価格よりも割り引いて提供していた」が駄目なのが驚きです。
「ドラッグストアならもっと安いんだから、20円分くらい安く交換しやがれ‼」と心の中で悪態ついてましたが禁止事項だったとは。
ゴンザレス さん
一般景品、総付景品絡みの規制は、まあ一言でいえば
「物で客を釣るなよ!」
こんな感じです。
取り締まり行政や業界内の健全化組織というのは、細かいのです。
まあ、それも、放っておくとエスカレートする性分のお店側が悪いんですが。。。
いつも興味深く拝見しております。
「・有名人や攻略誌等のライター招致告知」
について質問です。現在は都内でも立て看板などでの告知はやりたい放題のような
気がするのですが、本来は(または将来的には)どこまでがOKなのでしょうか?
1.店内での掲示物は不可(Twitter、メルマガ等はOK)
2.招致側の告知は全てNG、招致される側はOK(店側の拡散行為もOK)
3.招致側の、上記ライター・タレント等の記事へのリンク、RT等も禁止
4.招致される側の全ての告知もNG(TV、雑誌、ブログ、SNS等含む)
私が経営者なら、2や3がOKであれば追加の料金を払って告知をお願いするでしょうし、
告知がなく、客としてたまたま行ったら招致中で混雑or落ち着いて打てないというのは
迷惑(?)です。
それとも「すべては所轄の気分次第」といういつもの適当な規制なのでしょうか??
ちなみに私は、近所のホールでホームランなみちさんや青山りょうさん、矢部あやさんの
名前があると「行こうかな?」と思ってしまう奴です(笑)。
うさお さん
厳密には、お店側は、いかなる発信もNGですね。
例えば、本日来店取材があるので、カメラなどへの映り込みにご注意下さい。といった注意喚起も、その体裁で告知して集客の色気を出していると捉えられるので不可、という感じです。
ライターさんや広告代理店は風適法に直接的に縛られる営業主ではないので、チェックの目が緩かったり警察の反応が鈍いのは事実です。
でも、最近ではSNSへのチェックが厳しくなったエリアがある、という情報も出て来ていますね。
しかし、プライベートで来店しているライターさんや打ち手側が勝手に「今日のハナハナ全6!」みたいな告知をした場合はどうなるのか、などと考えればキリがなかったりしますので、今のところは
「招致側の告知は全て不可」
「招致される側はOK(店側の拡散行為は不可)」
こんな感じでしょうかね。
福岡県の某店舗にて現在でも規制前の旧イベント日(10のつく日)等に店前ののぼりを派手にし、店内の音楽もいつもと違う祭の音楽や派手な掲示物を使い集客を煽っている。イベント規制の裏を掻い潜った店の運営方法に疑問を感じる。