パチンコ機の検定釘(納品ゲージ)での、入賞個数設計値はどれくらい?-回答

今回は、パチンコの釘に関してのお問い合わせに回答します。

 

くらま さんからのご質問

(導入部略:お住まいのエリアや遊技している店舗名、簡単な個人情報などの記載があります)

 

すると、何事もなかったかのように引っ掛かった玉を押し入れて、どうぞ、と。

 

当然また引っ掛かり、また呼び出しボタン→押し入れる。

 

これを3回繰り返し、最終的には「またです!」みたいなインカムを入れたらスーツ社員が登場で、そこの釘を指で広げたのです。

 

さも、どんな状態なのかその場所を触って確認しているフリをしていましたが、はっきりと指に力を入れて曲げたところを見ました。

 

楽太郎様の記事で首吊りにはリスクがあると注意していましたが、この店では他入賞だけではなくワープでも吊ります。(ひどい時では、朝の開店時から吊っている台もあったりします。)

 

●●●(県名、系列店舗名)でも同じような感じなので、おそらくは会社として全部がそうなんだと思います。

 

一ユーザーなのでここまでしないと営業できないのかまでは解りかねますが、検定に通った時とは違うゲージの台ばかりが全国のパチンコ店に納品されていたから、撤去という一大事に発展したのではなかったでしょうか。

 

店舗側も、過度に曲げて営業しているので、警察側の取り締まりが厳しくなっているのではなかったでしょうか。

 

私からして見れば釘の状況は全く変わっていません。

 

それは、多少は他入賞に入るようにはなったかもしれませんが、ほんの申し訳程度です。

 

そこで、質問があります。

 

よく検定釘、出荷状態の釘、などと呼ばれている釘の状態では、どのくらいの玉数が入るものなのでしょうか?

 

それが解らない以上、この店は適法な台の使い方をしている、かけ離れたひどい使い方をしている、このように判断するのは困難です。

 

お忙しい方だと思いますが、お時間がとれましたらで結構です。

 

お返事お待ちしております。

よろしくお願い致します。

________

ここまでが、ご質問内容です。

 

なお、メール添付で首吊りの画像も送って頂きましたが、モザイク加工などしてもご本人やお店の情報が写り込んでいて隠し切れないため、割愛させて頂きました。

 

それでは、回答させて頂きます。

 

回答

建前と現状

まず、本件に対してどういった回答をするか、お店側の者としては判断が非常に難しいところです。

 

それは、例えば

  • 納品時の釘のまま一定期間営業した時の、データ公開
  • 納品時の釘のまま一定時間実射した時の、動画公開

 

このような方法で、納品時の釘(以下、「納品ゲージ」)ではどのような遊技状況になるのか示す事も可能ではありますが、もしそのような方法で記事公開した場合、それとは異なる玉の動きや入賞状況のお店が、全て「違法釘曲げ店舗」として情報拡散されてしまう可能性があると判断します。

 

盤面を走る玉の流れや、入賞状況は、設置傾斜や店側の調整具合によってかなり変わってきます。

 

そもそも、調整してはいけないのではないか、という声も多いでしょうが、現状では「取り締まり行政および、それから立ち入り検査を委託されている遊技産業健全化推進機構が、違法とは判断しない」程度の釘調整というものは存在します。

 

過去に、警察庁生活安全局保安課長クラスの方から、「数十分間に、数十個」入賞するのが当然、といった主旨の行政講話があり、現在メーカー側はそのような水準を満たす釘幅、釘配置で検定に持ち込み、それを納品しています。

 

しかし、実際には、遊技産業健全化推進機構の立ち入り検査時に、一般入賞口が拾わず行政通報の対象となるのは、実射時に1個の入賞も目視確認できなかった場合のみです。

 

ここに大きなギャップがあり、それが故に、以前アンケートをとらせて頂きましたが、「拾いはするが、警察庁が想定している水準ほどではない」という釘調整で営業するお店が多い訳です。

 

要は、警察庁が要求する水準では会社が要求する利益を残すのは困難、しかし従来のように全く拾わない調整にはリスクが高い、だから中間をとって「適当には拾う」ゲージで運用しよう、という考え方に至る訳です。

 

【参考】2017年2月26日 読者アンケート(約30時間)の結果

【質問】近所のお店の一般入賞口の状況を教えて下さい

  • 玉貸し数千円分弾けば、たまに拾う (46%, 40 Votes)
     
  • 玉貸し1,000円分弾けば必ず1個以上は拾う (34%, 30 Votes)
     
  • いくら弾いても、全く拾わない (20%, 17 Votes)
     

Total Voters: 87

 

このような状況で、納品ゲージでの実射データなり動画なりを公開すれば、非常に多くのお店が「全然違うじゃん!」という事になり、最悪の場合は色々なところに営業にとってマイナスな情報が出回ってしまう原因を作る事にも繋がるため、それはやめておこうと判断した、という訳です。

 

この判断についての是非なり、お叱りは、私がコメント欄で受けますので、どうぞ遠慮なさらず、そちらの方へご意見をお寄せ頂ければと思います。

 

納品ゲージで営業している店舗はあるか

では、失礼な表現ではありますが、馬鹿正直に(全ての)機種を納品ゲージのまま営業しているお店はないのか、という事についてですが、私の周囲では1店舗もありません。

 

やはり、ある程度のマイナス調整は、私も含めて周囲ではやっているという事です。

(私に関しては、大体、通常ベース30~35くらいでの運用です)

 

しかし、沖縄4が出て来たあたりから、無調整のまま営業データをとってみたり、実験的な営業を試している知人店長は居ます。

 

また、交流がある現役店長兼コンサルH さんからは、「地方には、無調整で初日開店するお店が最近出て来ていて、通常ベースは40を越えている」という情報を頂いています。

 

なので、これまでのように、一般入賞口は拾わないもの、という認識を改めて、

  1. 取り締まり行政側が要求する水準
  2. 会社が要求する利益水準
  3. 打ち手の遊技が成立する水準

 

これら3者の難しいバランスをとるべく、苦心しているお店は、増えて来ていると判断します。

 

それでは次に、実際に最近の遊技機の納品ゲージでのメーカー側の設計値についてお話したいと思います。

 

これにはやはり、しっかりとした資料が必要と判断して、以下のものを用意しました。

 

設計値資料

納品ゲージ/設計値

納品ゲージでの入賞個数(設計値)

 

これは、某機種の取扱説明書に記載してある資料です。

 

こういった資料、データの記載については、私見では2016年4月以降の型式試験に持ち込まれた機種から取扱説明書に綴じ込まれるようになって来たと推察します。

 

世に出る全ての機種を購入している訳ではないので、どのメーカーのどの機種から、何月何日からと断言するまでの資料はありませんが、ニューギンは2016年6~7月の納品機種からこの資料を添付しているので、ここらへんが最も早い対応をしたと判断しています。

 

意外に思われるかも知れませんが、同社はこういった感覚は敏感で、例えばお店に納品/設置された遊技機/交換部品が正規の物/状態である事を証明するための「設置確認書」を最も早い段階で導入したのも、同社だったりします。

※メーカー側の読者の方がいらっしゃって、もしも間違っていたら是非ご指摘願います。

 

この「設計値」資料をご覧頂けば、それぞれの入賞口に対して【個/分】の値を変動させてみれば、メーカー側は何分間の遊技で何個入賞する事を念頭に置いて設計した機種なのか、お分かり頂けるかと思います。

 

よって、今回のご質問に対しては、この資料が直接の回答という事になります。

 

参考

回答ついでに、現在のように、釘調整に関してそこまで厳しい目が向けられておらず、警察庁としても色んなものをほぼ黙認していた時代の資料を紹介しておきます。

 

これは、某メーカーが、納品に先立ってお店側に提供していた、釘調整の簡易シミュレート表です。

ゲージ表

2007年当時のメーカー配布資料

 

某メーカーと言いましたが、こういった内容の資料は、全メーカーが用意してお店側に提供するのが常であり、それは釘問題が面倒な事になりそうな気配が出て来た2015年まで続けられていました。

 

要は、メーカー側としても、お店側は釘調整によって利益調整し、取り締り行政側も(目の前で釘を叩いたりさえしなければ)そこまでうるさく言って来ない、という事を前提にして機種開発なりこういった資料提供を行っていた、という事です。

 

しかし、今ではこういった資料をメーカー側が用意する事は無く、あくまでもメーカー側のスタンスとしては「こちらでは型式試験に合格したゲージで納品しており、その実射数値はこのような水準です」というものに留まります。

 

つまり、「納品状態から動かした場合は、全てお店側の責任だからね」、という事です。

 

釘調整の未来図は?

それでは最期に、ここまで面倒な事になった釘調整事情についての、今後の成り行きについて、ごく簡単にではありますが触れてみたいと思います。

 

見方によっては、

 

  • 釘調整ではなく、別の仕組み(段階設定等)によって利益調整する時代への移行
  • 遊技機の仕様自体の変更(すなわち、ECO遊技機/管理遊技機)

 

この過渡期にあるとも見えますし、

 

  • 納品ゲージで営業して、必要な利益を残せないホール企業の淘汰(無調整を前提)
  • 納品ゲージに限りなく近い状態で営業して、必要な利益を残せないホール企業の淘汰(微調整の許容)

 

このようにも見えます。

 

厳しい言い方をすれば、国家公安委員会が認可する検定時の状態(納品ゲージ)で営業して、必要な利益を残せないような業界であれば、それはビジネスモデルとしては崩壊している、という事です。

 

今後は、「納品ゲージから、かけ離れた状態まで釘曲げしないと、会社としてはやって行けない」というホール企業は、どんどん廃業するでしょう。

 

また、設計値のままの運用では、打ち手から支持されない、或いはお店側から買ってもらえないような機種しか造れないメーカーも、同じような状況に陥るでしょう。

 

お店側も、釘調整の考え方を劇的に変える必要性があり、メーカー側も、ゲーム性も含めて大きな見直しが必要な状況にあるという事です。

 

では、具体的に、どのような遊技機なら、前述した行政/ホール/打ち手の3者のバランスがとれて、メーカーとしても買ってもらえるようなものなんだ、と聞かれれば、これまた回答に困ります。

 

無理矢理、例を挙げれば、一般入賞口の入賞個数によって演出が極端に変化するゲーム性、といったところでしょうか。

 

昔あったCRソニック・ザ・ヘッジホッグの宝石集めや、最近ではCR桃キュンソード3のガチャポイントのようなものの、賞球が発生する版です。

 

これにより、あるお店では一般入賞口の拾いが少ないので、その機種が持つ真の魅力やゲーム性が打ち手に伝わらず、その一方で、しっかり拾わせるお店では、その機種の真価を引き出せるので、お店側はプラス調整する事で打ち手に喜ばれて稼動にも反映され、しかも同時に取り締まり行政側が要求する水準を満たす遵法営業店舗であるとPRする事も可能になります。

 

まあ、これはあくまでもちょっとした思い付き程度ですが、釘の問題は単にメーカー側かホール側どちらか一方の問題なのではなく、監督官庁である警察庁の考え方も含めて、業界全体に関わる事なのだ、とだけ言わせて頂きたいと思います。

 

 

記事の締めとして相応しいかどうかは分かりませんが、今回はこれくらいにしておこうかと思います。

 

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[記事情報]

2017年3月10日公開

コメント
  1. ここでそんな動画出すような方は革新者か馬鹿者かのどっちかでしょうね。職を賭して・・・なんてやってもメーカーか勤め先ホールに訴えられるのがオチですよ。

    しかし機構と警察、双方の認識が違えば違うほど警察が強硬になる(メーター設置義務とか)と思うんですが・・・怖い怖い。

    • ゴンザレス さん

      まあ、何が起こっても、業界としては甘んじて受けるしかないですね。
      検定機と異なる役物比率に意図的に変更するのが当たり前の文化だった訳ですから、それが今後はダメだよ、となるその変化に対応しないと行けません。。。

      • あくまで個人的な意見ではありますが、良い子ちゃんのフリをしつつ裏では行政と熾烈な駆け引きがある・・・なんて光景を見たくはありますね。警察に全て任せると悪い方向にしか代わらない気がしますし。

        • ゴンザレス さん

          その手の話は、Twitterで色んな方と結構遣り取りしますね。

          業界が多様性を持って存続するには組合組織として結束する必要があり、力を持った組合が行政やメーカーに対してしっかりした存在感を持って対峙する事でしか未来は無いと思います。

          今まで多様性だと思っていたものは実は幻想で、ただ個々の店舗が好き勝手やっていただけなのかも知れません。

          私自身、この事は若い世代に対して発信したいと思っているので、近いうちに記事にするかと思います。

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