今回は、同業の方からのご質問にお応えします。
Contents
ミラクルマウス さんからのご質問
楽太郎様
いつも興味深く拝見しております。
私は●●県(甲信越エリア)で役職についている者ですが、管理遊技機の事についてご教示願います。
先日、日工組の役員改変にて金沢氏から筒井氏にTOPが変わりましたが、その発表の席上にて、今後はより一層管理遊技機の開発を進めていく旨の発言があったかと思います。
過去記事を拝見しまして、我々ホール側の者にとって情報は少ない中でも、楽太郎様は独自のネットワークをお持ちなのか事情に明るい方とお見受け致しております。
そこで質問がございます。
楽太郎様は、管理遊技機の導入コストについて、どの程度を想定されておいででしょうか?
まだ具体的な話が出ていない中でのこのような質問になり申し訳ないのですが、当方では店舗設備の老朽化に伴い、おそらく2~3年以内に大掛かりな改修が必要になる見込みです。
(現在、2003年の設備一式で営業中です)
これには島組みの建て替え等も含まれるため、見積り上では3億5千万から4億ほどが出て行く形になり、弊社の体力的にはかなり時期を見定めての改修が必要になります。
なので、もしも他に大掛かりな出費の見込み、例えば昨年の撤去問題や、規則改正に伴っての設置機種の大幅な入替等とその時期が重なってしまいますと、営業面に支障を来たす恐れがございます。
そんな中での、日工組新理事長の管理遊技機の開発推進発言な訳ですが、私の上司は「エコ遊技機は現行機種よりはコスト減が図られる見込み」、「新台価格10万円化を目指す取り組みのはずだから、歓迎できる」という反応をしております。
不勉強のせいもありまして、私には上司が申しますこの「新台価格10万円」という話の出所自体がわからず、また本当にそのような、楽観的と申しますか、そのような見込みでいて良いものかと不安です。
改修工事の話は、震災以降ほぼ毎年話題に上がっては消え、後ろ倒しされている状況ですが、仮にこれがいよいよやらざるを得ない状況に至り、その時に不幸にも遊技機の大幅な変更も合わさったら、と考えますと、やはり私としてはこれ以上の工事先延ばしは危険と判断しておる次第です。
そういった訳で、私にとりまして管理遊技機の導入コストがどの程度になるかは重要であり、もしも楽太郎様の方で何か情報をお持ちでしたらご提供願いたいと思うに至った次第です。
以上、お時間がある時で構いませんので、宜しくお願い致します。
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ここまでが、ミラクルマウス さんからのご質問です。
回答
<まとまった出費に関して>
まず、設備関連の改修に関して、ご心配の事情は良く分かるつもりです。
私の会社でも、島自体に関しては2005年前後の施工のものが多く、数年前に改修を実施したのですが、これが仮にパチンコにおける昨年の「不正」遊技機の撤去とカチ合っていた場合は、単年でみれば巨大な出費になった訳であり、経営者にとっては設備投資時期は妥当だったのか否か考えざるを得ないような羽目にも陥っていた可能性はあります。
こういった、大規模な工事に踏み切る判断は非常に難しいですが、後ろ倒しにし続けていたら、どんどん営業状況が悪化したり、近年のような遊技機の大規模な入れ替えの時期と重なれば、「ああ、もっと早く手を打っておけばよかった」と後悔する場面もあるものと推察します。
人様の会社の、しかも数億単位の出費に対して、このようなブログ上でこれ以上の事は申し上げにくいですが、あくまでも私見では、
- 安全面(重量がある台枠の増加傾向、十数年来の島への固定釘の抜き差しによって島組みが劣化)
- 機能面(還元機の劣化、島内配線がごちゃごちゃになっている、など)
- ユーザビリティ(遊技環境の改善)
こういった基本的な事を改めて考えますと、ミラクルマウス さんが常日頃お考えのように、15年近く使用している設備の改修判断をこれ以上先延ばしにするのは危険かな、と思います。
<管理遊技機の進捗状況について>
これに関しては、既に過去記事をご覧頂いたようですから、私が持っていた基本的な情報はそちらにある通りです。
【参考】
①2016年10月15日公開
『ECO遊技機(封入式)の開発の話ってどうなったの?-回答』
②2017年1月15日公開
『ECO(封入式)のハード面やシステム面で知っている事を教えて下さい-回答』
社内にデータストック的な部署があり、例えば「不正」遊技機の撤去問題の時や、現在進行形の新基準に該当しないスロット機の撤去問題、或いは依存問題への取り組みなど、業界事情について会議の場で話題にする際や、若手管理職連中への研修資料などが必要な際には、主に私が取りまとめています。
なので、一般的な店長さんのように営業現場の最前線に出張っている、というよりは、どちらかというと事務仕事が多いため、たまたま今回のようなご質問にそれなりに回答できるだけです。
事情通、というよりは、普段からこういった資料に触れているので、求められたら(手元にあれば)パッと出せる、ただそれだけです。
なので、今回のご質問についても、十分な回答になるかは分かりませんが、一応ミラクルマウス さんが欲しい資料はこれかな、というものがありますので、それを紹介させて頂こうかと思います。
<過去資料>
上司の方から、「エコ遊技機は10万円」というお話があり、どこでそのような話が出たのか?という事ですが、これは一応、日工組が正式に出した資料が存在します。
ご存知の通り、上司の方が仰る「エコ遊技機」とは、かつて「封入式」と呼ばれ、その後「ECO遊技機」、今では「管理遊技機」とその呼称を変えている訳ですが、2016年あたりからは業界団体間での会合や文書遣り取り上では「管理遊技機」として統一化の流れにあります。
これは元々は、玉の循環等も含めてパッケージ化されたものを指して封入式と定義したり、共通台枠に近い形で入替が可能という観点でECOという表現をしていたものが、ネットワーク化することで例えば警察庁からデータ提供を求められた際にもそれが管理センター的なところで照会可能なようなシステムを構築するという事で、高度に管理された遊技機=管理遊技機という呼び方がされています。
おそらく、上司の方が仰る「エコ遊技機は10万円」という数字の根拠となっている資料は、これかと思います↓
日工組発 第100号
2014年(平成26年)9月17日
日本遊技機工業組合理事長 金沢全求 氏から、全日本遊技事業協同組合連合会 理事長 阿部恭久 氏に充てて通知された書面
「ECO遊技機及びECOシステムに関する条件」について(ご回答)
この通知書面は、これに先立って全日遊連側から出された
「ECO遊技機及びECOシステムに関する条件」(全日遊連発 第148号)
この質問状に対する、回答という体裁になっています。
この回答の中で、特に重要な箇所を以下に書き出します。
________
全日遊連からの質問/要請
↓
①ECO遊技機及びECOシステムの低価格化を実現すること
当初、ECO遊技機は、業界における高コスト体質からの脱却を一番の目的に揚げていたはずである。
これがなし得なければ、現在の問題がCR機からECO遊技機に変わるだけで、何の解決にもならないが、これまでの質疑を通じて提示された想定価格では、高コスト体質が改善するとの確信は持てず、組合員の理解を得るにはいたらなかった。
したがって、ECO遊技機及びECOシステムの各機器のコスト及びシステム使用料等のランニングコストを我々が納得できる低価格に抑えるとともに、現行遊技機も含め、遊技性に富み不正に強い低価格な遊技機の開発に努めること。
日工組の回答
↓
ECO遊技機本体の価格におきましては、従前より説明させていただいておりますとおり、10万円以下で提供できるように致します。
(以下、略 ※画像を参照願います)

2014年(平成26年)時点での見込み価格等
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おそらくは、この書面の、この遣り取りの箇所をもって、上司の方は「エコ遊技機は10万円」という水準でお考えなのかと推察します。
<参考にできるか?>
では、これが本当に管理遊技機の導入コストを見積もるにあたっての参考になるのかと言えば、あくまでも私見ですが、全く参考にならないものと推察します。
理由としては、最近の別の記事でも触れましたが、私はこの画像にも見える通り、何かオプション(外部後付け)的なギミック類、データ機器などを付属販売する事で、メーカー側は本体価格+αの利益を得ようとすると考えています。
本体部分の基本性能は全メーカー共通でも、オプションは個社ごとに製造しそれがあると「より効果的に」打ち手の遊技意欲を喚起できるという仕組みです。
平和ならそれが後付けの「ルパン専用サーチライトギミック」やパトライトかも知れませんし、サンセイなら牙狼の立体物かも知れません。
三洋なら、木箱に小豆が入っていて、右へ左へと動く事で波打ち際の音をリアルに表現するかも知れません・・・というのは行き過ぎですが、まあ、そういった仕組みを構築する事で、結局は1台あたりの価格はそこまで大きく変わらないのではないか、という懸念を持っています。
もちろん、いわゆる大手価格、指定法人価格などと呼ばれる、取引上のグロス金額が大きいホール企業への価格提示と、中小ホールが管理遊技機を導入する際の必要コストは相当違うかも知れませんので、一部の大手ホール企業にとっては、管理遊技機の導入推進はウェルカムな流れとも言えるかと思います。
しかし、私もそうですが、ミラクルマウス さんが所属されているホール企業はそのような規模ではなく、設備の改修時期に悩むほどの状況な訳ですから、そこまでお得感がある価格が提示される可能性はまず無いものと見てよいかと思います。
なので、結論ですが、管理遊技機の価格が10万円水準という考えでお店の将来設計をするのは、極めて危険かと推察します。
上司の方の考え方にケチをつける格好になってしまい申し訳ありませんが、回答としてはこんな感じです。
以上、十分な回答になったかは分かりませんが、今回は、これくらいにしておこうかと思います。
コメント頂ける方は、下の方からお願い致します。
「新台価格10万円台・・・これは口ばっかりで、絶対に無いな!」という方は、そっと押して下さい↓
[記事公開]
2017年6月11日
全社で互換性のある本体部分の価格十万円+各社毎のオプションやその他部分●十万円(+検定料やチェック費用といった名目のみかじめ料)といった感じですか?ミニ四駆で言う所のシャーシは共通だけど、モーターやらボディやらはピンキリといった所?
なんか格安ツアーとか格安結婚式といったものに通じる悪どさを感じますね(どちらもオプション追加費用が高い高い)。
しかし店の設備改修に億単位・・・つまり改修のための回収も億単位・・・(白目)。
頭では分かっておりますが、実際の数値を聞くと一遊技者としてはゲンナリしますね。
ゴンザレス さん
島組みは意外に高い、というか業界価格なんですね。
なので、ホール企業が自社で建築部門を持って対応しているという場面もあります。
知人部長のお店は200台ちょっとの規模なのですが、島(設備機器一式含む)、内装、床/天井(塗装含む)などなどで2億の改装費用が掛かったらしいです。
遊技場運営って、お金掛かりすぎですよね。
台の価格高騰が良く話題になりますが、それ以外にこういったシマ設備やホルコン、データ機器、サンドなどの設備投資費用も、日々のそれほど多くは取れない利益から確保しなければならない訳ですから、そりゃあ、おいそれと玉をホイホイ出す訳には行かないですよね(´ω`)
更にはスタッフの人件費も他業種より高いし、店内の装飾や休憩スペースなんかも昔より豪華ですよね。
灰皿や椅子、サンドも含めた台間ユニット、データ表示機、Wi-Fi、USB電源、ロッカー、貯玉システム、何もかもが昔よりも快適になりましたが、その全てにコストが掛かっているのですから、正直、時々ビミョー
ファウ介 さん
打ち手側から、ホール経営はお金がかかるよねと気を遣ってもらっている時点で本来はマズいのですが、事実ですからね。
どの業種でも、ユーザーは自分の利益を最大化する事を第一に考えて、施設やサービスは特に深い事を考えずに利用して満足するだけ、というのが理想なのかも知れませんが、タネ明かし的にこういった業界事情を公開している身としては複雑な気分です。。。
初コメ失礼いたします。
10万円 → 枠本体と周辺機器?の価格で、ゲージ盤の価格は別では?!
と思われますが、如何でしょうか。
なすきゅうり さん
慣例上、「本体」と言った時は枠+盤面、「板」「セル」「セル盤面」「ゲージ盤面」「G盤面」と言った時はゲージ盤なのですが、今回の場合はどうなんでしょうね。
これでゲージ盤がバカ高いとかなら、やられた、といった感じです。
基本料金で、すきま風ピューピューのプレハブをご用意!
快適に生活したけりゃ、壁床の補強。冷暖房の設置。その他諸々。
破格のお値段でご用意しまっせ~って事でしょう。
基盤の交換?もしくは書き換え費用が一番かかるんじゃないの?メーカーさんの作業、出張費、深夜追加手当て。
この業界に何が待っているのか。離脱したモノですが心配です。
ポテトサラダ さん
ここ数年は激動の業界事情ですが、ポテトサラダ さんのように距離を置いている方の方がその変化をつぶさに見れるのではないでしょうか。
数年後に、業界がどう変わったか、或いは変わらなかったか、それはなぜなのか、こういった事を検証してみると面白そうですね。
一応私は、どんなに短くても2020年までは「現役店長」としてブログ運営する予定です。
なので、一緒に検証してみましょうかね。
ECOパチ導入の際は黎明期のCR機導入のときのようにギャンブル性を高めないと普及しないと思いますけどねぇ。
80%継続、天井搭載、これなら普及しそう
パチ屋店員894 さん
CR黎明期ですか、釘の師匠から資料一式貰ったので、どのカード会社の設備にいくら掛かったとか、そういったデータは一応手元にあります。
何かの機会に、記事にするかも知れません。