そろそろ全国のホールに登場が予定されているニューアイムジャグラーEX-KA(レッドゴールドパネル)ですが、今回はその販売の経緯などについてご紹介してみようかと思います。
「現行のアイムジャグラーEXと同じスペックのやつを、なんで今更また出すのか?」
このように疑問に思っていた方は、その背景について知って頂ければ幸いです。
2007年に登場したアイムジャグラーEX
まず、今回出てくるニューアイムジャグラーEXレッドゴールドパネルの元になるスペック機であるアイムジャグラーEXについて、どんな機種だったか軽く振り返ってみることにしましょう。
[アイムジャグラーEX]機種データ
検定時期=2007年1月(都道府県により1ヶ月前後あり)
設置店舗数=約2,000店舗(2016年9月1日現在)
・出率構成
BIG=PAYOUT336枚超で終了
REG=PAYOUT98枚超で終了
設定1
BIG1/287.4 REG1/455.1
合成1/176.2 出率95.9%
設定2
BIG1/282.5 REG1/442.8
合成1/172.5 出率96.7%
設定3
BIG1/282.5 REG1/348.6
合成1/156.0 出率98.7%
設定4
BIG1/273.1 REG1/321.3
合成1/147.6 出率100.8%
設定5
BIG1/273.1 REG1/268.6
合成1/135.4 出率102.8%
設定6
BIG1/268.6 REG1/268.6
合成1/134.3 出率105.2%
こんな感じの機種でした。
エリア差はあるでしょうが、同機は4号機から5号機時代に移行し、打ち手側が今後のスロットはどうなっていくのかちょっと不安になっていたような時期に「アシスト系の5号機はスペックダウンした感満点だけど、まとまった枚数がとれるノーマル完全確率Aタイプは、やっぱ安定感があっていいよね」ということで高評価を得て長期稼動したジャグラーの中のジャグラーと言って良い存在です。
実際、同じ時期にはAT系の機種は今後どうやって集客力があるスペックを開発していくか試行錯誤している段階にあり、ようやくかのスパイダーマン2が出てきて、RTパンク回避のゲーム性によって「5号機でも万枚の夢が追いかけられる!」と、打ち手側はやる気を回復した、そんな時期でした。
※お店的には、「なんだこの設定keyは!エイリアンの頭か?」みたいな感じでした。サミーは設定keyの形状をちょくちょく変える名人です。
満身創痍の大ベテラン
そんな時期から、現在に至るまで第一線で活躍中の同機ですが、一つだけ悪い点がありました。
それは、後続のジャグラーの評価基準を上げてしまった事です。
特別何が悪いという訳ではないものの、その後出てきたアイムジャグラー7、ラブリージャグラー、ジャンキージャグラー、クラシックジャグラー、アイムジャグラーSPなどといった機種は、同機と比較された結果
「こんなの、ジャグラーじゃねえ!おれはEXしか打たねえぞ!」という常連客が居るようなお店まで見受けられ(私のお店です)、シンプルなAタイプ機の代表格であるジャグラーの中でも、微妙な違いというか、支持率の高低がある事を全国の店長に思い知らせる事になった訳です。
その後はハッピージャグラーやマイジャグラーなどがどんどん世に出て行き、しだいに打ち手に認められていく事になりますが、それでも同機はホール現場で活躍し続けたという点で、野球で言えばさすがに全試合出場は難しくてもいまだにその影響力を失わない大ベテランであると言って良いかと思います。
しかし、大ベテランには、怪我が付き物です。

その勇姿を忘れない・・・
劣化した部品は・・・
ホールの営業現場管理は、単に売り上げ/粗利/稼動(IN枚数)といった営業数字管理だけではありません。
現場スタッフの労務管理や、小さいお店であれば店長さんが遊技機の購入/売却管理までも一任されている場合もあるでしょう。
それらの管理業務の一つとして、機械整備があります。
釘調整の事を指して機械整備と称するお店もあるでしょうが、ここでは遊技機のハード面の維持の事を指します。
※「釘、叩いてます」と大っぴらに言えないので、整備=メンテナンスですと言い訳的に呼称したり、ゲージコントロール(GC)等と格好良く呼称して誤魔化しているホール企業も沢山あります。
前述した通り、2007年にデビューしたアイムジャグラーEXは、もちろん相当な設置期間があるという事で、それ相応の消耗に耐えながら生き残っています。
実際、私が管理しているお店の数台は、マイジャグラーⅡに後を託す形で満身創痍で引退して行きました。
【参考】2016年5月26日公開
『ジャグラーと楽太郎-思い出話と、最近設定の入れ方を変えたお話』
同機は、基本的には非常に強い筐体の構造をしており、私見では耐用年数的な観点ではスロット機ではTOPクラスのタフさを誇っています。
しかし、それでも劣化してしまう箇所があり、それは主にボタンやセレクター、レバー、下部パネル(インバーター基盤周り)と言えます。
ここからは裏話になりますが、本来は設置機種に故障があればメーカーから正規の手続きで部品を購入して交換し、所轄に届け出た上で正規の手順で再稼働するのが当たり前です。
しかし、小規模ホールなどや法令順守意識が低いホール企業、古い世代の管理職が居るお店などでは、ちょっとした故障くらいなら「おもちゃ屋で実機を買ってきて、それから部品取りして交換しちゃえばいいじゃん」とか、倉庫に部品取り用に置いてある実機をバラしてこっそり交換して、所轄に届け出する事なく稼働させてしまうという場面がかなりあります。
それが、アイムジャグラーEXくらいの大ベテラン機種ともなれば、全国規模で見た時には相当な台数の「不正な部品交換機」が存在する事になる訳です。
・・・察しが良い読者の皆さんであれば、ここから先の展開はもう読めるでしょう。
取り締まり行政の目を意識した北電子
パチンコにおける、検定時と異なる釘の状態で販売された可能性がある遊技機=「不正」遊技機の撤去問題も関係しますが、取り締まり行政側としては、「本来は、こうあるべき」と考えている状態から逸脱した業界の現状を、正そうとしています。
そして、その逸脱行為の修正手段は、法規に厳格に照らし合わせて自ら大ナタを振るうようなものは想定しておらず、あくまでも業界が自主的にそれを正すという方向に持っていかせるという、自浄能力を世に示させるような方向に持っていかせようとしているのは明らかと言えるでしょう。
なので、全国のアイムジャグラーEXは劣化しながらも長らく支持されている、しかし、ハード面では相当なガタが来ており不正な部品交換事例も出て来ている、ここで同機のコピースペックの新台を提供できればセールス的な観点では・・・
こういった事を総合的に考慮すれば、このタイミングで北電子が動いたのは至極当然と言えるでしょう。
しかし、これは北電子的には完全には読めなかったようですが、直近でホール側は機種購入履歴、抱き合わせ、或いは台数縛りとも言えるような不当な販売条件でもって有力コンテンツ機である まどかマギカ2と北斗修羅をまともな台数購入する事になり、今回のアイムジャグラーEXのコピースペックのためにプラスアルファ的な遊技機購入費用を捻出する形になった訳です。
なので、一部のホール企業からは、
①結果的に販売するタイミングが悪くなってしまった
②Aタイプ且つコピースペックにしては高価である
③購入にあたっては、現役のアイムジャグラーEXをメーカーに返却することが条件
④購入にあたっては、保有しているアイムジャグラーEX以上の台数の購入は実質的に不可である
(つまり、ホール側としては、大量に購入して中古価格が100万円以上になった際に何台かを売却して売却益を得るという手法がとれない)
こういった観点から、不評を得ていると言えるでしょう。
しかし、読者の皆さんにとっては、まどかマギカ2と北斗修羅が出て来るこの時期に、アイムジャグラーEXの新作が出て来ると言う事は、好都合と言えるものと推察します。
この理由に関しては、ちょっと長くなってしまったので、後編に保留しようかと思います。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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