高射幸性遊技機は低貸しコーナーでも射幸性が高いのか?

2008年11月の初登場以来、旧MAX機種の代名詞ともいえる程の知名度を得てヘビーな打ち手の心を鷲掴みにした牙狼。

それが今や、依存症を生み出す諸悪の根源=高射幸性遊技機の代名詞とされています。

しかし、この業界では昔からずっと話題になってきた事なのですが、そもそも「射幸性が高い」、「みだりに射幸心を煽るおそれがある」とは、どのような事を言うのでしょうか?

 

打ち手の皆さんは、普段あまりこのような事を念頭に置いて遊技したりはしませんし、そうする必要など全くありません。

 

要は、単に取り締まり行政側と、業界側だけの問題なのです。

 

今回は、ここ数ヶ月間にわたって問題視されている高射幸性遊技機の存在の是非について、ごく簡単にではありますが書いていきたいと思います。

 

というのも、ごく最近の事なのですが、同業の知人と一席設けた際に

「自分の考えでは、どんなスペックだろうが、低貸しコーナーで使えば”射幸心を煽る”台にはならないと思う」

「警察の規制やメーカー団体の自粛は、全て4円パチンコと20円スロットでの遊技を前提にしているのでは?低貸しコーナーで使えば射幸性が高いなんてことはない」

「0.5円くらいの低貸しコーナーなら、一般的な家庭のお父さんでも、頻繁に通って遊べる」

 

このような意見がありました。

 

まあ、それもそうだな、と思う反面、では実際に営業データを元に詳しく見てみると、どうなんだろう?

こんな素朴な疑問がわいてきたので、知人店長や部長から営業データなどをもらったりして調べてみたというわけです。

 

取り締まり行政の見解を分析すると

まずは、取り締まり行政側の基本的な考え方や業界の現状の見方をおさらいしておきます。

 

これまで取り締まり行政は、打ち手が世間一般の基準からかけ離れた金額を消費する状況は「遊技」と言えるものではなく、また過剰な見返り=大量獲得(交換金額十数万円超)を期待して打ち続けることで懸念されるヘビーユーザー化(依存症)に警鐘を鳴らしてきました。

 

わかりやすく噛み砕きながら、順次みていくと↓

①現在の警察庁生活安全局保安課課長である小柳氏や、課長代理である大門氏も、その時々の講話において

・1人あたりの年間消費金額が200万円超というデータがある

・業界は依存症からの社会復帰を支援する団体であるリカバリーサポートネットワークの活動に協力しているが、依然として依存症は深刻な問題である

・遊技に没頭することで、駐車場の車内に置いてきた子供が熱中症を発症したり、その最悪の事態に陥る痛ましい事故が後を絶たない状況である

 

こういった主旨の発言をし、注意を喚起してきました。

 

②この主旨を踏まえて、別の言葉に置き換えてみると

・消費金額が多過ぎるため、もはや「遊技」という言葉の範疇に収まるものではない

・パチンコスロット店に常習的に入り浸ることで、正常な社会生活を営めなくなっている人が多い

・パチンコスロットには正常な思考が出来なくなる程の没入効果があり、命を危険に晒す事例まである

 

こんな感じでしょうか。

 

③更に細かく解釈していくと

・遊技と賭博は異なる。一時の遊興に少額を使用するのが遊技であり、パチンコスロットとは出玉やメダルを得た場合は「特殊(金)景品を含めた多種多様な景品と交換」できる遊びである。だが、実際にはほとんどの遊技客は特殊(金)景品を選ぶ傾向にあり、取り締まり行政側はこの点を問題視している。

・多額の金額を消費しながらも常習性や没入を生む背景には、出玉やメダルを高額な特殊(金)景品に交換=実質的には多額の換金ができる遊びであるという、他の世間一般の遊技とは異なる、この業界ならではの特殊性が影響している

 

このように言い換えていっても差し支えないかと思います。

 

ここで、③の内容をひっくり返して見てみます。

・消費金額が少なければ問題無い

・交換時に得られる景品は特殊(金)景品ばかりではなく、タバコや飲料、食品、菓子、生活用品など多岐にわたるのが望ましい

・多額の換金ができなければ常習性や没入の度合いは薄れるため、「遊技」の範疇に納まる

 

考え方的には、特に不自然な点は無いように思います。

 

低貸しコーナーの特徴

順を追って見て来たように、取り締まり行政側には、あまり換金を意識して欲しくないという考えがあるようです。

 

この考え方に応えるものとして、低貸しコーナーがあります。

 

その特徴をざっと挙げると

・持ち玉の台移動やパートナーとの共遊可のお店も多い

・貯玉再プレー可のお店も多い

・玉貸しボタン1PUSH=100~200円のお店が多い

・確率が辛い旧MAX機種でも、消費金額を抑えやすい(注:実際には釘調整の影響を受ける)

・景品交換時は、会員カードを使用しなければ端玉が多くなりやすい=一般景品の取得数が多くなりやすい

・時間が無い場合などは確変や時短中でもやめていく遊技客が多い=チャンスタイムを捨ててもそこまで惜しくないという遊技客が多い

 

このような特徴がありますので、取り締まり行政側が懸念している高額換金の発生、依存や没入による生活破綻や重大な事故への発展の可能性は、ぐっと低くなると考えます。

 

ここまで見てきた感じでは、記事の初めにご紹介した知人の意見

・低貸しコーナーにならどんなスペックでも設置してOK

・低貸しコーナーなら一般家庭のお父さんでも頻繁に通えるし、射幸性も高くない

 

このことが、特に何の問題もなく受け止められます。

 

しかし、実際のホール現場での営業データを見ていくと・・・

高射幸性遊技機を打つにはお小遣いじゃ足りない?

お小遣いで牙狼が打てるかな?

 

低貸しコーナーの牙狼でも射幸性が高い?

 それでは、すでに製造販売が禁止された(実際には業界側の自粛)旧MAX機種=確率1/399が上限値の機種を、低貸しコーナーに設置した場合はどうでしょう?

 

釘調整の数値が異なるため、単純な比較はできませんが、参考までにCR牙狼金色になれ、の営業データ(抜粋)を2つご紹介します。

 

①1円パチンココーナーに設置(33玉/3円交換店)

2015年12月月間営業データ抜粋(提供元:神奈川県の中規模PS併設店)

CR牙狼金色になれ

アウト個数 出率 初当たり確率 台売上/日 台粗利/日
32,800 88.05 1/405 12,700 3,970

 

②0.5円パチンココーナーに設置(33玉/3円交換店)

2015年12月月間営業データ抜粋(提供元:東北地方の中規模PS併設店)

CR牙狼金色になれ

アウト個数 出率 初当たり確率 台売上/日 台粗利/日
36,100 91.95 1/375 8,420 2,680

※こちらは、釘調整の数値もざっくりと教えてもらいました。

回転率(分間スタート)=5.05とのことでしたから、仮にこの釘調整の台が4円パチンココーナーにあれば千円15回にちょっと欠けるかといった具合の台だと思います。

確変ベースが85ちょうどとのことでしたから、私の感覚では低貸しコーナーに設置している旧MAX機種の使い方としては、お客さん寄りの甘めにしていると思います。

 

前述の営業データを分析すると

まず①についてですが、1日あたりの売上金額が12,700円ですから、月間では12,700円×31営業日=393,700円の売上金額となります。

 

また、1日あたりの粗利金額が3,970円ですから、月間では3,970円×31営業日=123,070円の粗利金額となります。

 

どうでしょう?

普段の4円パチンココーナーでの遊技と、頭の中で比べてみれば、当然使用金額は少ないように思います。

 

でも、実際には有り得ない話ですが、仮にこれが同じ人が毎日毎日遊技した結果の営業データだとすれば、けっこうな額を使い、そして負けていることになります。

※ここでは単純に金額だけをみます。

なので、負けても一般景品をたくさん交換したり、毎日遊べて満足だった、という遊技体験的な事は考慮しません。

 

次に、②を見ていきます。

 

1日あたりの売上金額が8,420円ですから、月間では8,420円×31営業日=261,020円の売上金額となります。

また、1日あたりの粗利金額が2,680円ですから、月間では2,680円×31営業日=83,080円の粗利金額となります。

 

こちらはどうでしょう?

先程の1円パチンココーナーでの遊技と比較すれば、使用金額は抑えられていますが、これもやはり仮に同じ人が毎日毎日遊技した結果の営業データだとすれば、依然かなりの額を使い、そして負けていることになります。

 

これでは、いくら0.5円パチンココーナーとは言っても、仮に効果的に会員カードや貯玉再プレーを駆使しても、一般的な家庭のお父さんが頻繁に遊びにこれるくらいの金額には収まっていないように思います。

 

また、いくら

「数万個を計数しても、4円パチンココーナーと比べると1/4かそれ以下の交換価値しかない」

「交換時は一般景品の割合も多くなる」

ということで、つまりは射幸性は抑えられているじゃないかと言ってみても、それとはまた別の問題=消費金額が抑えられる遊びなのか?

という問題が残っているように見えます。

 

かといって、釘調整の数値を甘くして、1日あたりの台粗利1,000円程度で調整しては、お店側にとっては

・電気代

・人件費

・故障時の修理費(場合によっては入替費用)

これらを捻出することすら叶わない、慈善事業的な営業コーナーになってしまう可能性が高いです。

 

高射幸性遊技機の撤去は時代の要請

駆け足でみてきましたが、業界人としてはちょっと残念ではありますが

・賭博ではない、遊技としてのパチンコ

・世間一般とのズレが大きいパチンコ業界の方向修正

 

こういったことを考えるにあたり、遊技金額の負担が大きい旧MAX機種を規制(実際にはメーカー側が製造を自粛)したのは正しかったというか、時代の流れであると思います。

 

「全ては自己責任」

そう言って看過される時代ではなくなっています。

・格好良いCMのタバコ銘柄を、ガンガン喫煙して、どんな病気になっても自己責任

・個人が300倍のレバレッジで為替取引をして生活が破綻しても自己責任

・webに溢れるサイトコンテンツは、どんなものでも公開OK。違法サイトで不利益を被っても自己責任

・レバ刺しを食べるのは好みの問題。衛生面に落ち度があるお店で食べて重篤な症状になっても自己責任

 

そりゃ自己責任だろ、そう思う人も多い反面、せっかく国家機関であったり各種団体があるんだから、より多くの人の生活が安心安全でなものになるように厳しめにルールを設けましょうよ、そのように思う人も多いかと思います。

 

そして、時代の流れは、どちらかといえば後者の意見を汲む傾向にあります。

 

なので、2015年11月初旬から現在進行形で、高射幸性遊技機がホール現場からしだいに減ってきているというのは、仕方ない事かと思います。

 

なので、この記事の最初の話に戻りますが、

「低貸しならどんなスペックの遊技機を置いてもいいじゃん」

 

どうやら、そういう訳にもいかなそうです。

 

 

今回は、これくらいにしておこうかと思います。

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