前回の記事では、現在のパチンコ業界に対しての取り締まり強化や規制、自粛事項等について、ざっくりと見てきました。
※参考:10/28(火)更新「全てがマルハンの都合の良い方へ 向かっている【その①】」
それによって、取り締まり強化以前から元々強い営業力を有しているマルハンを筆頭とする大手店舗は、各種規制下では独自の営業手法や宣伝広告、サービス提供が困難になっている小規模店舗と比較すると、非常に有利な立場にあるということをご説明してきました。
今回の記事では
「等価交換営業の廃止と増収の見通し」というテーマで、なぜ規制下という状況がマルハンにとって好都合なのか、東京都の事情を例にとって、更に解説していきたいと思います。
まずは、以下で、
・等価交換営業廃止の経緯
・ホール企業にとっては、増収の見通しが立つ
これについて簡単に解説していきます。
1<等価交換営業の廃止について>
すでにご存知の通り、11/2(月)以降は東京都下のお店でも、大阪府などと同様に、等価交換営業が廃止になります。
この理由は、
利益発生の仕組みが、世の中の一般的な業種のそれと逸脱しているからと言えます。
※等価交換営業で利益を生み出すためには、必然的に、お客さんが負けることが前提の営業になります。
この、お客さんが必ず負ける状態にするには、景品割数10割以下に釘調整/設定管理する必要があり、具体的に言えば著しく釘を曲げたり、最低設定ばかりで営業する必要があります。
世の中の一般的な業種は、お客さんに物品やサービスを提供する対価としてお金を受領します。
物品であれば、安く仕入れて、それに利益分を乗せて販売することで差額分の利益を得ます。
サービスであれば、その提供に必要な原資や労力、時間などを考慮して、価格を決定しています。
※さらに言えば、お客さんの喜びや充足が次の来店に繋がることが商売の基本になっています。
しかし、等価交換で営業しているパチンコ店の場合はどうでしょう?
貸し玉料金と交換価値が等価であれば、利益を発生させるには、必ずお客さんに金銭的な損をさせるということが商売の基本になってしまっています。
※この場合、金銭的には損でも、遊技体験としては十分楽しんで得をしたという考え方は適用しません。
また、お客さんが遊技するのに必要な遊技機の提供や、スタッフによる接客も、お金を使った以上の価値があるものとして考慮しません。
このような状況を改めて、差益を得ることを営業の出発点とせよ、というのがこの等価交換営業廃止の根本に存在します。
そうすることで、取り締まり行政側としては、勝ち負けがはっきり分かれる鉄火場のような現状から、本来パチンコスロットがそうあるべき「遊び」の「おまけ」として景品を交換取得するという姿に戻すきっかけにしたいわけです。

客数(売上)減でも利益は増える?
2<増収の見通しが立つ理由>
等価交換営業のお店が、より一層の収益をあげるにはどうすれば良いか?
より厳しい釘調整/設定管理で営業してはどうでしょう?
・・・現状でも十分厳しいので、それ以下となると客数減が加速して、結果的には売上不足を招き残せる粗利益も減る可能性が高いです。
それでは、一般的な業種と同様に、値上げしてはどうでしょう?
現状の1玉4円、1枚20円から、数円ずつ上乗せすれば・・・貸し玉/メダル料金の上限は4円/20円までと定められているので、それより高く設定することは出来ません。
もう一つ、客数を大幅に増やして売上増にし、それにより残す分も多くすれば?
・・・遊技人口の減少や家庭経済の縮小を考慮すると、それは期待できません。
このように考えていくと、
・景品交換時の価値を下げる
・貸し玉/メダル数を減らすことで、実質的に値上げとする
この2つに行き着きます。
景品交換時の価値を下げることに関しては、先ほど説明した通り、等価交換営業の廃止が当て嵌まります。
体裁上は、取り締まり行政側から等価交換営業は好ましくないという見方をされていたので、業界としてはその見解に従って廃止に向かっているということになっているのですが、実際には、今後は粗利益を確保しやすくなるので大歓迎という声もあります。
次に、貸し玉/メダル数を減らすことで、実質的に値上げとするということに関しては、消費税5%から8%に上がった直後は貸し玉/メダル料金を据え置いたお店が多かったですが、今後は減らしてくるお店が増えてくるだろうと思います。
すでに10%までの増税は決定しているわけですから、その増税のタイミングに合わせて減らすお店も多いかと思います。
ここで、問題がひとつあります。
パチンコで貸し玉を減らすためには、それが可能なサンドユニットを装備する必要があります。
貸し玉ボタンを押すと、電気信号1パルス=25玉が規定回数分繰り返されて貸し出されています。
4円パチンコであれば、ボタンを1回押すと500円分ですが、これは細かく見ていくと5パルス分(25玉×5)であり、それによって合計値である125玉が貸し出されているというわけです。

この会社のサンドユニットは今後…
察しの良い方は、もうお分かりかと思います。
25玉の倍数に当て嵌まらない半端な玉数を貸し出すには、そのためのシステムが必要です。
パチンコのサンドユニットのトップシェアは、日本ゲームカード社の製品です。
同社の製品は、トップシェアではあるものの、これまで貸し玉の微調整はできませんでした。
マルハンを初めとする大手ホール企業は同社の製品を導入しているお店が多いので、半端な玉数の貸し出しシステムを備えた新製品が販売されるのを心待ちにしていました。
それが、この11月から販売されます。
※半端な分を貸し出すためのノズルが上皿まで伸びているタイプの製品です。
それによって、今後どうなっていくか?
今まで出来なかったことが可能になるわけですから、消費税10%時代到来までに、貸し玉を減らすお店が増えてくるものと考えます。
3<まとめ>
等価交換営業をやめて、場合によっては貸し玉数を減らして、労せずして得た粗利益はお客さん側に還元されるか否か?
私の経験上、そのような営業姿勢を示すお店は少ないと考えます。
機械代やあらゆる仕入品に掛ってくる消費税が5%→8%→10%と負担増になり、これまでほどの集客が見込めない以上、「売上減でも、粗利増或いは維持」を望むホール企業が、特に中小ホール企業の中には多いでしょう。
ほとんどのホール企業は、節約といった観点での対策は、ほぼ済ませています。
※人員削減、消費電力削減、機械購入台数削減など
やり切った状態から、さらに多く残すのは困難といえます。
このような状況で、全店一致で等価交換をやめることができ、貸し玉/枚数を減らせる製品が販売させるわけですから、短期~中期的には増収の見通しが立ったといえます。
しかし、これはあくまでも短期~中期的な話です。
いくら売上(客数とも言えます)が減った状況でも交換価値&貸し出し数を削ることで増収になるといっても限度があり、この考え方には「しばらくは、客数は大きくは減らない」という前提があってはじめて成立します。
仮に、色々なものが削られる中で遊技意欲を失ったというお客さんが大多数であったら、どうなるでしょう?
結末は、ここで書くまでもありません。
パチンコ業界が他業種と大きく異なる点は
「売上が減っても粗利を増やせる」という点です。
一般的な業種は、たくさん売ると、それに付随するかたちで粗利が増えていきます。
しかし、この業界では、釘調整/設定管理、交換数の変更、貸し出し数の変更などの手段によって、売上が減っても粗利を増やせるという、世の中的には異常なことが可能です。
これからこの業界がどのような営業姿勢を打ち出していくか?
あなたのご近所でも営業しているであろう、マルハンを筆頭とした全国チェーン店舗の動向が一番チェックしやすいと思います。
繰り返しになりますが、今まで出来なかったことが可能になるわけですから、マルハンにとっては、少なくとも短期~中期的には有利な展開になるでしょう。
増加、或いは維持できた粗利益を、同社が「たいせつなお客さま」と位置付けているファンに還元してくれるでしょうか?
この先は、あなた自身の目で見届けて頂きたいと思います。
長い記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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