メーカーとホール-2016年夏、天秤はどちら側に傾く?

現在、パチンコ業界は身から出たサビ、或いは奔放だった旧世代のツケを払うような形で、色々な問題を抱えているのは周知の通りかと思います。

 

はじめに

このような書き方をしたからといって、過去の業界を糾弾したいわけではありませんし、その時代を生きてきた人達を叩くつもりもありません。

 

なぜかと言えば、パチンコ業界に限らず、社会全体が多くの矛盾を孕みながらも大雑把というか色んな意味で大らかな観点でもって成長してきたという経緯があるからです。

※私はパチンコ屋ですので、他業種も含めた社会一般のことについては所感を述べる程度しかできません。

親や、先輩世代からの伝聞を元に、ここでは「大らか」という表現を遣いました。

 

それが、特にここ数年は、法の厳格化という流れの中で、これまでは看過されていたことであっても、厳しく規制されたり世間に対しての説明責任を追及されるような場面が多くなっているように思います。

 

この流れは、当然、パチンコ業界に対しても当て嵌まります。

 

今は高度なweb社会であり、読者の皆さんは、現在のパチンコ業界が置かれている状況について自ら求めれば比較的簡単に調べることができます。

 

ただし、取り締まり行政が絡んだこと、まだ世間一般に対して公表される前段階のことに関しては、業界人が発信する専門誌やブログ等を頼りにせざるを得ない状況かと思います。

今回は、このような、まだしっかりと世に出てきていない(未確定な)情報について、簡単にではありますがご紹介してみたいと思います。

 

現状の整理

それでは以下で、まずはメーカー、ホール、取り締まり行政、打ち手、それぞれが抱えている問題について、箇条書き的に整理してみたいと思います。

 

<メーカー>

・検定時と異なる釘の状態で販売された可能性がある遊技機=「不正」遊技機の撤去回収問題

 

・高射幸性遊技機(MAX機、払出し性能2万枚超のAT機など)に向けられる取り締まり行政からの厳しい目

 

・「不正」遊技機の撤去回収のために必要な、適正な新台の開発販売

 

・上記の適正な遊技機の販売に関して、ホール側から無償or大幅な値引きでの提供を求められている

 

・上記の適正な遊技機の販売に関して、ホールに適正な状態で設置して、適正な状態のまま営業の用に供されているかチェックする体制の構築

 

・ホール数の減少により、新台の売上高が大きく減少している

 

・版権(維持)費が嵩んでいる

 

・人件費の負担が大きい、或いは、今後遊技機をホールに適正な状態で設置して、適正な状態のまま営業の用に供されているかチェックする体制を構築した場合、営業マンにその労力的な負担をかける可能性がある

 

・新台の販売価格を大幅に上げる傾向について、ホールから厳しい目で見られている

 

<ホール>

・パチンコのトレンドダウンにより、売り上げ不足、粗利不足に陥っている

 

・消費税の増税分の負担が大きい、また、10%に増税された場合はさらに負担が大きくなる

 

・新台価格が2015年初に比べて10%前後上がっているメーカーがあり、他メーカーもこの流れに追随する可能性が高い

 

・「不正」遊技機の撤去回収に関して、それと入れ替えるための遊技機が従来の価格水準よりも安く提供される可能性が、ほぼ無い

 

・今後販売される遊技機は高ベース仕様となるため、従来の水準の粗利益を手っ取り早く維持しようと考える場合は、売り上げが進み易いようにスタート数値を落として対応し、更なる客離れを招く恐れがある

 

・客数減に歯止めをかけるべく打ち手寄りの調整/設定で営業するも薄利になり、1台40~50万円の機械代を捻出するのに数カ月かかる場合もある

 

・今後販売される遊技機の納品時には「想定ベース値」が記載された仕様書が添付される可能性が高く、またメーカー側がその「想定ベース値」で営業の用に供されているか否かホールコンピューターのデータの閲覧を要求してくる可能性がある

 

・業況が厳しい中で、本来は違反とされる集客イベントに手を出す店が増加している。規制を遵守している店が集客力を落とし、無視する店が集客しているといったエリアも出てきている

 

・全国的に等価交換廃止の流れにあるが、これに従わない店が出てきている

 

・イベント規制や交換個数/枚数変更の取り決めに従わないお店に対して、全日遊連は現状では何の処罰もできておらず、遵守しているお店からは公平性に欠ける旨の陳情が上がってきている

 

<取り締まり行政>

・数十年来黙認してきた釘問題への口出しによって虎の尾を踏んだ格好だが、実際に営業現場で釘の状態を点検したりするだけのマンパワーが無い

 

・釘問題や換金の事実、依存症問題など、業界の監督官庁としての責任を、国会の場などでも厳しく追及されるようになってきている(従来のようにアンダーグラウンドな遊びとして看過されなくなってきている)

 

・その時々の生活安全局保安課の面子によって、業界への指導のスタンスや本気度が異なる

 

<打ち手>

・業界の健全化を求めてはいるが、実際には規制を無視した具体的な告知、露出度が高い宣伝広告を実施しているお店でないと、打ちに行くだけの理由に欠ける

 

・依存症を問題視しているが、実際には短時間で大量の差玉/差枚数が発生する(時間効率やリターン比率が高い)高射幸性遊技機を選ぶ層も依然として多い

 

 

・・・ざっくりとですが、それぞれについて、このような問題があるかと思います。

 

ただし、問題の本質は、やはり取り締まり行政や打ち手側には無く、長いこと日陰者であった業界がにわかに世間を賑わすことになった原因は、メーカーとホール側にあるように思います。

天秤

吊り合う事は無い?

 

入れ替え自粛明けから夏場までの見通し

それでは、以下で、現在メーカーとホール側が置かれている状況から今後の両者のパワーバランスというか、少なくとも2016年の夏場くらいまでに起こり得る問題点について書かせて頂こうかと思います。

 

①「不正」遊技機の撤去回収問題

⇒ホール側に有利になる。

 

撤去リスト入りした機種であっても、その撤去期限が決定していないため、可能な限り使い倒すことができている。

 

また、少なくとも2016年内は急いで撤去せざるを得ないような状況にはならないと想定される。

 

②今後の新台の販売について

⇒メーカー側に有利になる。

 

世の中的な常識に照らし合わせれば、①の問題に伴い、それと入れ替える新台が無償提供されたり大幅に値引きされる可能性も話題にされたが、業界歴が長い者ほど最初からこういった対応は期待していなかった。

 

実際に、多くのメーカーは新台の値段を逆に上げてきており、伊勢志摩サミットの入れ替え自粛期間明けの2016年夏場以降は、これまでよりも3~5万円程度値上げして販売するメーカーがほとんどになると想定される。

 

今回の問題は世の中的なリコール案件や営業補償案件とは性質が異なっている。

 

「不正」遊技機の下取り費用は従来より1~3万円多くするが、新台の販売価格をそれ以上に上げることで、下取りの負担分を相殺することが可能になっている。

 

③高ベース仕様の遊技機の流通について

⇒メーカー側に有利になる。

 

取り締まり行政の意に従い持ち玉比率を上げ、また遊技機の設置に関して確認したり設計値通りの数値で営業しているかチェックを求めることで、ベース値が下がった場合の責任を全てホール側に担わせることができる。

 

実際には、現在の新台価格&設計値通りの釘の状態で、営業上必要な利益を確保できるホールは少ない(或いはほとんど無い)。

 

④広告宣伝(イベント)規制について

⇒メーカー側に有利になる。

 

現時点でも、規制を無視した告知を実施するホールが多いが、これによる集客にも限度がある。

 

特に会社員層の打ち気をそそるにはやはり新台入れ替えが有効であり、いくら売り上げ減、消費増税という状況であってもその需要自体が大きく減る訳では無い。

 

エリア差はあるものの、取り締まり行政が正規に認めているのは「新装開店」の告知のみであるという前提がある限り、余程前評判が酷い機種でもない限りは、販売すれば全国で3,000~5,000台程度なら完売できる。

 

・・・以上、メーカーとホール双方の天秤の傾き具合を見ていくと、大体はこんな感じになるかと推察します。

 

割れる組合組織

前述の通り、本来守るべき規制や、全国/各エリアのホールが一枚岩となって対応すべき事に関しても、抜け駆け的な行為に及ぶお店や完全に無視した営業に走るお店が出てきている現状です。

 

これは業界のトップを自認するマルハンにも当て嵌まります。

※興味がある方は、マルハンの自社HPをご覧下さい。

特に都市部の店舗ほど、イベント規制を無視した営業に走っています。

 

震災以降は特に全国の各エリアでホールの足並みが揃わなくなってきている所が増えてきており、ざっと例を挙げると↓

・輪番店休日を設けるか否か

・等価交換廃止に伴い、以後の交換玉数を28玉前後に統一したいが、それに従わないホール企業が存在する

・震災●周年をどこまで適用するか(看板類の終日消灯など)

 

他にも沢山ありますが、特に足並みが揃いにくいのは上記のような点かと思います。

 

ただ、現状のホール組織(全日遊連、都遊協など各エリアの組合組織)には、足並みを揃えるだけのパワーがありません。

 

要は、抜け駆け的な行為がまかり通り、場合によってはちゃんと規制を遵守したり全日遊連の方針に従ったお店の方が不利な状況に陥るといった不公平な状況が現出していると言えます。

 

こういった問題に際して、どのように対処していくか?

 

例えば、東京都では、6月1日以降は上記のような違反店舗(ホール企業)に対して、組合組織を脱退するように勧告したり除名処分にするような措置を検討しています。

 

ただし、この脱退勧告や除名処分にも、大きな問題が存在しています。

 

全日遊連に所属していないと、営業上大きな不利益があるのか否か、ということです。

 

もしも何も不利にならないのなら、うるさいことを言う組合組織にお金を払ってまでわざわざ所属している意味がありません。

 

更に、もしも、業界のトップを自認するマルハンが脱退すると表明した場合、全日遊連の理事たちはどのように対処するのでしょうか?

 

 

現時点では、事の成り行きを見守る他ありません。

 

 

今回は、これくらいにしておこうかと思います。

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コメント
  1. いつも興味深く読ませてもらっています。私はメーカー勤務でした。振り返ってみるとメーカー有利だったのは私が入社する前だったと聞いています。私が入社してからは、抱き合わせ販売などは事実上できない状態でした。(お願いはすることができる、あれ買わなければこれ納入しないなんてことはできない)
    コンビニあたりが強くなって川下の時代に変わったのです。
    コンビニの殺し文句は「だったら定番からはずそうかなあ」です。
    ところで、パチンコ業界ではどうして依然としてメーカーが強いのでしょう?
    パチンコ業界でもマル半をはじめ大手の店舗数が増えてきていますし、
    だったら買わない!といえば台の高騰も変わってくるのではないでしょうか?
    このデフレの時代に機械代が右肩上がりの理由がわかりません。
    阿部総理にアドバイスしてほしいくらいにインフレしていますよね?
    抱き合わせ販売、台数縛り、なんとかしてほしいですね。

    • いしけん さん

      まさに仰る通りで、メーカーの販売の仕方や価格設定に不満があるなら、買わなければ良いわけですよね。
      過去記事にも書きましたが、今の組合組織はそういった点では全然機能していなくて、例えばエリア単位で「我々北陸方面のホールは、今回の南国物語の台数10台縛りに断固抗議する。各ホールにそれぞれ必要な台数で用意する気が無いなら、当組合傘下のホールは全店その機種を買わない」とか、それができればさすがに効果はあるでしょう。

      ただし、やはり抜け駆けするホール企業はあり、やはりそれはマルハンになるでしょうね。
      メーカー側にしても「まあ、マルハン等の大手はなんでも買ってくれるから、中小ホール企業なんか今後は相手にしてやらないもんね」と開き直るところも出てきそうですが・・・

      ただ、メーカー勤務歴があるいしけんさんが相手だからこういう事を言う訳ではないのですが、私はホール側の人間なのでこちら目線でメーカーへの不満を言いはしますが、メーカーの気持ちも全くわからない訳でもないです。

      私は20代初めの2年ちょっと一般企業の会社員経験があります。やっぱり、まとまった数量買ってくれたり、付き合いが太い顧客は優遇優先したくなりますよね。

      なので、客先に出向く営業マンには文句を言っても仕方がないので(あまり)言わないようにしています。意識を変えるべきはやはり、ホール側もメーカー側も経営陣かと思っています。

      実質的には不景気な訳ですから、従来の利益を維持しようと考えている時点で、ちょっと世ズレしているように思えてなりません。。。

      いつもご覧頂き、またご意見をお寄せ頂き恐縮ですm(_)m

  2. 返信ありがとうございます。抜け駆けが結局出てしまうのですね涙
    ところで、台数縛りとか抱き合わせ販売とか機種歴史販売は法律的には問題はないんでしょうか?
    我々の業界では、よっぽど欠品する場合はコンビニ優先となりますが、新製品発売の日に上記のようなことを日常的にすることはありません。(仕入れ数により値引き率が違うというのはあります)

    • いしけん さん

      顧問弁護士に直接、業界事情について逐一法的な解釈を求めることができる立場にはないので事実か否かまでは不明ですが、ウチの経営者が言うには

      ・抱き合わせや機種購入履歴販売は、独禁法が定義する不要な物品/サービス類の強制や、ある商品とそれにくっ付いてくる別商品との間に切り離せない密接な補完関係があるとは言えないので違法であると解釈している

      とのことでした。

      更に言えば、欲しい物を欲しいだけ買えないということに関しては、生産台数に限りがあるという方便でもって逃れることが可能だが、密接な補完関係の有無に関しては適用できるような事実が全く無いので、こっちの方は完全に違法だろうという解釈です。
      ※携帯の例を挙げていました。補完関係とは、本体購入+通信料金の支払い=これで初めて使用が可能、こういった感じとのこと。

      ただし、パチンコ業界は世の中の常識が通用しないアンダーグラウンドな世界なので、まかり通っているといった感じでしょうか。

      損をする者が居れば、得をする者が居るのもまた事実で、小規模ホールが飲めない条件でも大手ホールなら丸飲みできるので、こういった顧客のランク付け販売があることで差別化というかメリットを感じている所もあるのでしょう・・・

  3. やはり独禁法にふれますよね。メーカーは上場しているのに、不思議です。
    お答えありがとうございました。

  4. >・依存症を問題視しているが、実際には短時間で大量の差玉/差枚数が発生する(時間効率やリターン比率が高い)高射幸性遊技機を選ぶ層も依然として多い

    客の状況ですが、少し違います。
    客が今だにパチンコ屋に通うのは程度の差はあれ依存しているから。
    各自多少なりとも自覚しており、負け体験がフラッシュバックしてくるので新台しか打てない。これ以上負けたくないが多くの客は驚くほど負けており、しかも自分で止められないため国がパチンコの換金禁止をしてくれないかと願っている。

    なお、等価交換にすることも含めて市場で競争している以上 換金率は各企業で決めることであり組合が決められることではないと指摘しておきます。

    • 千葉ちゃん さん

      人の性みたいな話になりますよね。

      決定的な禁則がないと、現状を改められないという・・・

      打ち手は換金行為の禁止でパチンコを打つ理由を大きく削らないと、頑張って稼いだお金を浪費してしまう。

      ホールには釘が無い遊技機を納品しないと釘を叩き、宣伝規制しないとイベントを乱発し、総付景品規制しないとお客さんを物品で釣って集客しようとする。
      また、「不正」遊技機も撤去期限を設けないといつまでも使い倒そうとします。

      メーカーは台数縛り、機種購入履歴でお客(ホール)を差別化したり、世の中的には通用しない論理でもって「不正」遊技機の撤去回収問題を自分たちにとっての単なる新台の販売チャンスくらいにしか考えていない・・・

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