パチンコ店の電力使用量 に関しては、東日本大震災後の石原都知事(当時)の発言で俄かに注目を集めましたので、「無駄に凄い量を消費している」という印象をお持ちの方が多いかと思います。
確かに、インフラ関連や衣食住等、人々の生活にとって必要な産業ならどれだけ多くの電力を消費しても仕方ないと思います。
それらと比較すれば、パチンコ業はあくまでも余暇(レジャー)産業なわけですから、震災時のように世の中が大変なときに大量の電力を消費していることに関してお叱りを受けるのは当然と言えます。
ただ、我々ホール店舗としても、年々電力使用量の削減に取り組んでおり、滅多やたらに無駄な電力を消費しているわけではありません。
もちろん、この節電の取り組みは対世間という意味合いだけでなく、増税なり各種規制による集客力減や不景気によるファンの減少によってお店側としてはいろいろな節約を実施していかないといけないので、自分たちのために行っている意味合いも大きいです。
どのような意味合いにせよ、ここ数年はお店側が消費する電力は着実に減少しているので、今回の記事では
・私が管理しているお店の中の1店舗分の電力使用量データ(抜粋)
・都遊協傘下店舗の集計データ
これらを紹介しながら、簡単にではありますがご説明していきたいと思います。
まずは、こちら↓
Contents
1<私が管理しているお店の中の1店舗分の電力使用量データ(抜粋)>
あまり詳しく書くと、見る者が見ればお店が特定できてしまう惧れもあるので、抜粋です。ご容赦下さい。
節電対策をする以前
2007年(平成19年)8月のデータです。
電灯(kWh)※店内外照明類 | 動力(kWh)※還元機や空調等 | 合計金額(円) |
51,000 | 40,000 | 1,550,000 |
※営業所面積=約650㎡(客室約550㎡、その他は事務所や倉庫など)
※設置台数:パチンコ=約200台、スロット=約150台
開店前や閉店後なども、特に意識して電灯を間引いたり、バックヤードを消したりはしていません。
エアコン(全24機)も、ほぼ全部つけっぱなしです。
また、電灯はまだLEDではありません。
お店の規模としては、中型店にあたると思います。
状況としては、7:00過ぎに管理職が出社~25:00管理職が退社となっており、この間はほぼ全ての店内照明は点いています。
節電といえば、営業時間外は店外照明消灯、遊技機や還元機なども閉店後にスロットの設定変更業務を行った後は速やかに電源OFFしていた程度でしょうか。
正直言って、あまり節電意識は高くなかった頃です。
次に、2015年(平成27年)8月のデータです。
節電対策した後
電灯(kWh)※店内外照明類 | 動力(kWh)※還元機や空調等 | 合計金額(円) |
29,000 | 30,000 | 1,300,000 |
※営業所面積=約650㎡(客室約550㎡、その他は事務所や倉庫など)
※設置台数:パチンコ=約190台(一部改装した時に減台)、スロット=約150台
開店前や閉店後は、意識して電灯を間引いたり、バックヤードを消灯しています。
エアコン(全24機)は、必要な場所&時間帯以外は間引き運転をしています。
電灯は3年ほど前に全てLED化しています。
状況としては、7:00過ぎに管理職が出社~24:30管理職が退社となっており、若干ですが業務のシェイプアップに成功したことも影響しているかと思います。
遊技台のメンテナンスや設定変更が必要な島以外は、島単位で電源を落とすようにしたり、可能な限りの節電努力を実施しています。
電力消費量(kWh)を大幅に削減した割には、金額的にはそれほど大きく減っていない点は、使用量あたりの単価の変化が関係しています。
ここらへんは、契約プランがどうなっているかにもよるので、金額的に高いか安いか妥当かは、何とも言えません。
※ちなみに、2007年時の電灯は1kWhあたり平均17円くらいで、現在は平均28円くらいです。
とにかく、LED化し、時間外の節電意識を強化したことにより、これだけ多くの電力使用量を削減できたということだけはわかって頂けると思います。

全照明LED化の威力は凄かった!
次にご紹介するのはこちら↓
2<都遊協傘下のお店のマクロデータ>
年度 | 調査対象店舗数 | アンケート回答店舗数 | 推定使用量合計(kWh) | 削減率 |
2007年(平成19年) | 1,166 | 838 | 884,457,202 | 基準年 |
2008年(平成20年) | 1,122 | 773 | 869,047,819 | -1.7% |
2009年(平成21年) | 1,072 | 804 | 797,599,779 | -9.8% |
2010年(平成22年) | 1,084 | 825 | 793,169,512 | -10.3% |
2011年(平成23年) | 1,065 | 801 | 699,747,536 | -20.9% |
2012年(平成24年) | 1,053 | 792 | 721,082,505 | -18.5% |
2013年(平成25年) | 1,022 | 721 | 751,927,367 | -15.0% |
※都遊協から各店舗へのアンケートデータを基にしています。2014年度のデータはまだ発表されていません。
※全日遊連は、2030年までに2007年度比で22%削減することを目標にしています。
なので、都遊協傘下のお店の取り組み姿勢は、それほど悪くはない進捗状況といったところかと思います。
いかがでしょうか?
あくまでも推計数値ではありますが、業界としての取り組み姿勢のほどが伝わってくるデータかと思います。
もちろん、前述の通り、節電は世の中に対して「パチンコ業界は社会の構成員として果たすべき努力を行っている」と示すという目的だけではなく、経営上必要なことだからやっています。
都内だけでなく全国的に見ても、店舗数の減少という業界側としては悲しい現状がありますので、更に電力使用量の削減は進むでしょう。
一部地域では店舗の大型化が進んでいて、店舗数の減少が電力使用量の削減にダイレクトに繋がっていないという情報もありますが、2007年度に比べるとエコ機能が付いた遊技機の流通やLED化の進行、お店側の節電努力も相まって、全日遊連が目標とする2030年までに22%削減という数値は達成される可能性が高いと見ています。
今回はこのへんにしておきたいと思います。
パチンコ店がどれくらいの電力を消費しているのかを考えるにあたって、参考にして頂ければ幸いです。
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