どうにかして、もっと回したい!そういう欲求が極限に達すると、ハンドルを引っ張って遊技台の下部を前面に出し、傾斜を変えようと試みるお客さんがたまに居ます。
今回は、傾斜が大きく変わった台で打って優秀値を叩き出し、結果的に大量出玉を獲得したお客さんのお話です。
Contents
1:まゆゆ導入
ある日の閉店後、甘デジバラエティーコーナーの片隅に導入されたCRAKB48バラの儀式Sweetまゆゆver.は、RTC機能により実に楽し気な楽曲を奏でていました。
お店にもAKBファンが沢山居り、熱烈なまゆゆ推しを自認する社員はピカピカの盤面を眺めてウットリしています。
※私も某メンバー推しとして社内では知られていましたので、今回の甘デジ導入には大満足です。
設置完了の報告を受けた私は、台の電源を切り(うるさいから)、ガラス枠を外して(叩きやすいように)、釘調整に取り掛かります。
開店日の数値は千円17.50回程度にしたかったので、まずは命釘幅を12.25ちょうどで取ります。
ジャンプ釘は若干上げ。
※私は角度ゲージは使用しませんので、いつも肌感覚です。
道連釘は無調整。
風車を若干下げ、風車右上のハカマの出口釘を若干上げて、寄り玉に勢いをつけます。
ワープは適当に通過するように、11.05ちょうどで取ります。
寄りのバラ釘や、他入賞口付近は納品時の状態が良いので、ほぼ無調整で良さそうです。
※他入賞口は11.05ちょうどで取り、付近の釘を少しずつマイナス調整し、入賞しにくいようにします。
当時はまだベースUP規制の話が大きくなっていなかったので、「この調整ならベース18.50、BY1.50前後かな」くらいの感覚で叩いていました。
次に盤面の右側の調整です。
電チュー周りは、厳しくしようと思えば確変ベース70以下にもできるのですが、あまり落とし過ぎるのもかわいそうなので85前後になるように調整していきます。
※スルー付近は11.15で取り、通過しなくて電チュー開放しないという状況にはならないように留意します。
上皿満タンに玉を入れ、軽く弾き出してみて左右両面共に玉の流れを確認します。
玉の流れも問題なさそうなので、これで1台完了。
次の台の調整に取り掛かります。
2:試し打ち
20分ほどで全台の釘調整が完了し、手が空いている社員を捕まえて試し打ちを指示します。
ハンドルを固定し、アースを付けて自動で発射するように準備します。
担当の社員には、30分間の試し打ちで、玉掛かりが発生しないか、データランプとホールコンピューターに遊技データがしっかり上がっているかどうかなど、チェックさせます。
その間、私は他の台を調整し、明日のスロットコーナーの設定配分を考えます。
3:入れ替え作業完了、帰宅
パチンコ、スロット両コーナーの調整が完了し、試し打ちの様子を見に行きます。
遊技データも正常に上がっているので、後は、予定と数値が異なっている台を個別に微調整して、これで当日の作業は完了です。
時間は深夜1時半くらい、今回は台数が少なくトラブルもなかったので早めに帰宅できました。
その翌日・・・

綺麗な盤面です
4:導入初日、閉店間際のお店に到着すると
翌日は昼前に起床し、本社にtel、連絡事項などを確認します。
管理している他のお店にも順次telし、早番責任者から営業報告を受けます。
その後は、特に予定もなかったので自宅でのんびり過ごし、20時頃に出発。
2店舗を回り、最後に昨夜私がまゆゆを調整したお店に立ち寄ります。
まだお客さんはけっこう遊んでくれていて、新台のまゆゆは満台で稼動中です。
・・・なにやら、甘デジコーナーの入口付近に気になるものが
「置けないので避難中!新台CRAKB48まゆゆ 別積20箱」
・・・へ!?
甘デジ箱は1,500個くらい入るから、別積20箱、足元は7~8箱で、合計40,000個?
5:事務所での会話
えらい出たな、と思いながら遅番責任者から簡単に営業報告を受けます。
そして、まゆゆの話になった時に・・・
「店長もけっこうなファンですからね、開店日に千円26回以上回る台用意するなんて、大サービスじゃないですか」
・・・へ!?
「単純なヘソ調整じゃないんですね。ステージの乗り上げが優秀で、お宝台ですよ」
・・・・・・へ!?
「開店プロ対策かなんかですか?パッと見、そんなに回る台だと思いませんでしたよ。閉店したら調整ポイント教えて下さい」
・・・・・・・・・あ!
6:気付いた時にはもう遅い
入れ替え作業時の釘調整で、1台、2台と順調に完了。
その後、3台目の台で違和感があったのです。
釘を叩く時の音が、他台よりも軽いというか響くというか、木枠を引っ張ってみると・・・
ズズッ!
手前に動きます。
設置を任せていた社員を呼び、後で傾斜を測り直してしっかり固定しておくように指示。
・・・指示はしましたが、確認はしていませんでした。
ホールに出て、閉店間際の台を見てみると、やはり遊技台の下部が他台よりも手前に大きく出ています。
監視カメラで打っていたお客さんの挙動をチェックしてみましたが、特にハンドルを引っ張る等の怪しい仕草はありません。
更に時間を遡って見ると・・・
開店前の清掃~施錠チェック時にハンドルを強く引っ張り、かなり傾斜が大きくなったというのが濃厚でした。
傾斜が大きくなると必ずしも良く回る、というわけではありませんが、今回の調整では寄り玉に勢いがつくような調整をしていました。
道連釘もジャンプ釘もマイナス調整していません。
まゆゆは道連釘~ジャンプ釘~命釘付近のステージはそれほど高くはないので、傾斜が大きくなって寝ることにより、勢い良く撥ねて遊んだ玉がステージに乗り上げまくっていたのです。
そういった、導入初日の色々な悪条件(お客さんにとっては好条件)が重なった結果、千円26回超というお宝台が誕生してしまったというわけです。
7:大当たり65回超、差玉38,000個超
結局、500円で大量獲得を許し、色々な不手際を悔みながら閉店。
お客さんは十中八九自分で傾斜を変えたわけでもなさそうだし、「この台、手前に動いていて良くステージに乗るよ」と申告する必要もありません。
私自身、今回は自分のミスでこのような結果になったという自覚がありましたので、閉店後に社員を集めて経緯を説明し、頭を下げることになりました。
まあ、開店日に還元したとも言えますが、根本にあるのは入れ替え作業時のミスなわけです。
遅番責任者は1台だけデータが撥ね上がっていた事に関して、自分のチェック意識というかアンテナの低さを悔いてはいましたが、他の者に余計な気をつかわせることにもなってしまったようです。
何やら良く回る台に座れて、初当たり確率も1/50くらいという超優秀値で終日遊べたお客さんは、本当にラッキーでした。
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うちの近くのホールでは打っていると逆に傾斜がついてきて
回らなくなります(^^;これは携帯電話アプリの水平器で
1秒ずつ傾斜ログを取って確認しました。
上皿?下皿?それとも台の後ろ上部の玉貯める所の変化なのか
回転率は1/3になります。
そしたら筐体枠上部を押すと回転率が戻るのでそれをやって
ました。他のお客もやってたし。これってやっぱり台枠が
きちんと設置されてないことが原因なんですかねぇ。
ぐっちさん さん
ステージの形状や道連釘とステージの距離によっては、ちょっと寝るだけでステージへの乗り上げが良くなりそこからのスタート入賞率が向上したり、或いはその反対で入賞効率が悪くなったりする場面は結構ありますよね。
実際に営業現場でも、台の下の方をこっそり引っ張ったり、上部を押し込んだりして傾斜を変えようと試みる人はたまに見かけます。
遊技機の枠は四隅の四点留めが基本ですが、島組みが劣化しているお店だと打ち込んだ遊技機枠固定用の釘の、島側の釘穴がバカになっていて遊びが生じたりするので、引っ張ったり押したりすると軽く動くという感じですね。
あとは、最近の遊技機は基板や可動ギミック、液晶などに相当な重量があるので、台開放すると下方向にかなりの負荷が掛かります。
なので、設置期間が長くなって台開放を繰り返すと、前述のように島側の釘穴がバカになってきて、やはり固定用の釘がグラつくというか遊びが生じやすくなります。
ちなみに、私の釘の師匠は(大昔の手補充時代から打っていた世代です)、裏上皿(舟とも補給タンクとも言います)内の補給玉の量によっても、前述のような感じで島への固定が甘い台なら傾斜が変わって回転率にバラつきがあったと経験的に話してくれた事があります。
しかし、今はそんな便利なアプリがあるんですね。
私はそういうのに疎いタイプのオッサンなので、デジタルツールを使いこなしている方は凄いなと感心してしまいます。