多くのお店の景品カウンターには、アメ玉やハイチュウ、フリスク等はありますが、ガムがありません。
それは、業界の慣例的なもので、一言でいえば「いたずらの道具になるから」置かないようにしているのです。
時は15年ほど前、私がまだ副店長にもなっていなかった頃、景品の発注時に敢えてガムを選んだがために発生した、トラブルのお話です。
とにかく、よくもまあ、こんなところにくっ付けるな!
そう感心するくらい、色んなところにいたずらをされました。
結果、1ヶ月程で仕入れるのをやめることに・・・
読者の皆さんにとって、読んで頂いて何か得るものがあるかどうかわかりませんが、つい先日、お店の入場口付近の床にこびりついていたガムを除去していた時に、ふと昔の事を思い出したので、書いてみる事にしました。
ガムはこのように除去する
まず初めに、ガムの除去の仕方についてです。
色んなやり方があるかと思いますが、当時の私は主に「お店が入居しているビルの管理人室に置いてある食用油」と、パチンコ店の必須アイテム「エアダスター」を使い分けて対応していました。
わんぱく盛りの子供がいらっしゃる主婦の方なら、お洗濯やお掃除の時の豆知識としてご存知の方が多いかと思います。
※こんなブログに、主婦の読者の方がいらっしゃるとは思えませんが・・・
・油
⇒溶かして除去。
※ガムを構成する成分が分解されるようです。
・エアダスター
⇒逆さにして噴射し、凍らせて除去。家庭では氷を使って凍らせる。
※ちなみに、これはパチンコ店あるある、なのですが、エアダスターは若い男性スタッフの格好の遊び道具です。
特に、遊技台清掃用の雑巾を男●器の形に丸めて成形し、エアダスターでカチンコチンにして女性スタッフに見せつけて反応を楽しむのは、今も昔も変わらない伝統芸能みたいなものです。
つい先日も、アルバイトの男子が派遣女子に披露して、ドン引きされるとともに女性社員から怒られていました。
・・・ちょっと脱線しましたが、まあ、こんな感じにガムを除去します。
ただし、いつでもすんなりいく訳ではありません。
ある日、大量のガムが、悲劇を生みます。
ガムの包装紙が大量に
私がお店の景品カウンターに仕入れたのは、ガムと言えばこれ、ロッテのガムでした。
※たしか2種類。奇しくも、このブログのプロフィール画像にしているのと同じ、ペンギンがデザインしてあるあれです。
上長にもかなり迷惑を掛けてしまったので忘れもしませんが、あれは、CR富嶽(2001年西陣)の島でした。

風神雷神がイカス
巡回中のスタッフが、とある台付近にガムの包装紙が散乱しているのを発見します。
まあ、当時のパチンコ店はお客さんがちゃんとゴミ箱を使ってくれることなど最初から期待していないので、ホールに居た誰もが「散らかして帰ったんだな」程度の認識でした。
しかし、数日後・・・
「玉が出てこない」
遅番時間帯、だんだんと稼動が上がって大当りも増えて忙しくなってきます。
呼び出しランプ対応、箱の上げ下げに追われます。
そんな中、「当たり玉が出てこない」
そんな台が数台発生。
どうやら個別の台ごとの詰まりではなさそうで、還元機に異常がありそうです。
幕板を開けて玉樋をチェックすると、補給玉がかなり少なくなってきています。
こういった場合、いろいろな原因がありますが、私が勤務していたこのお店で多かったのはパッキーカードが下部タンク出口のシャッター部を塞いでしまい、リフト部に玉が送り込まれずに上部の補給玉が不足してしまうというトラブルでした。
※当時はパッキーやジャッキーといった名称の、テレホンカードのような形状のプリペイドカードで玉貸し遊技していました。
テレホンカードすら見かけない今日この頃、時代の流れはレーザービームのようです・・・
この時も、
「ああ、リフト自体はちゃんと動いているみたいだから、下の方で何か詰まってるんだな」
この程度の認識でした。
それが・・・
板ガム現る!
お客さんが打ち出した玉は盤面下部のアウト口から島の中へと流れていきます。
島の中の玉が流れるレールは、業界では「ドブ」と呼ばれていて、大量のアウト玉は負けがこんでいるお客さん方の怨念も巻き込みながら下部タンクへと飲み込まれていきます。
下部タンクの出口には、水門形状のシャッターが付いています。
営業中はシャッターが上がり切っていて、そこから元気よく玉がリフト部へと送り込まれていき、それが島上部の玉樋に貯まり補給玉となります。
この下部タンクの出口であるシャッター部に、サンドユニットと遊技台の隙間からドブに落ちたパッキーカードが、大量のアウト玉と一緒に流れていき、詰まりの原因となってしまうことが良くありました。
それが、この時は・・・「あれ?パッキーじゃないぞ。これ、ガムじゃん!」
目の前にあったのは、無駄に良い匂いがする、だいぶ柔らかく変形した板ガムでした。
ガムが玉と一緒にゴテゴテにまとまった状態で、リフトに至るまでの玉の流れを阻害しています。
大仕事に発展
営業中は、取り敢えずそのガムを除去することで玉の循環が回復し、なんとか閉店まで漕ぎつけました。
しかし、大変なのは閉店してから、まずは上長に報告です。
楽太郎「あのお~、今日の還元機トラブルなんですが、実はちょっと気になることがありまして」
上長「シャッターのところの詰まりじゃないのか?すぐに直ってたじゃん」
楽太郎「いや、それはそれで、念のため下部タンクの中を点検したいのですが・・・」
上長「そんなところ、タンクの玉残量センサーの清掃か交換以外じゃ見たりしないぞ。玉を全部抜かないといけないし、汚れも凄いから面倒だろうが」
楽太郎「この前、この島でガムの包み紙が沢山捨ててあってですね、今日のシャッター詰まりの原因が板ガムでして、それで・・・」
上長「マジか?それ、たぶんタンクの中に入っちゃってるぞ!」
特別清掃の名目で2人で残業し、下部タンク内をチェックします。
すると、ありました、数枚のガムが島内、タンク内の熱気でぐにゃぐにゃになって、玉もゴテゴテくっ付いてタンク内部に滞留しています。
そして、周囲は無駄に良い匂いが・・・
しかし、仮に1パック全部の板ガムがドブに落ちたのなら、数が合いません。
あと2~3枚はあるはずです。
今度は、CR富嶽コーナー全台を開放しての点検です。
これがまた、大変面倒でした。
こういった一連の作業は2~3時間はかかったかと記憶していますが、結論から書くと、その後は1枚も発見できませんでした。
私は、トラブルの続発におびえる毎日・・・
上長も「この一件、店長には黙っておこうな!」ということに。
すぐさま景品カウンターへのガムの仕入れをやめたのは、言うまでもありません。
※もちろん、お店の景品ではなく外部から持ち込んでのいたずらの可能性もありますが、どれが原因かは判別不能です。
その後、1年もしないうちに異動になり、10年ほど経過してそのお店は改修工事になりました。
同様のトラブルが発生したか否かわかりませんが、何もなかった、私的にはそういうことにしています。
ホール内でのガムをつかったいたずらには色々ありますが、サンドユニットと遊技台の隙間から板ガムを島内に落とす、これは島単位でのトラブルに発展する可能性がある悪事ですので、読者の皆さんは絶対にやらないようにお願い致します。
以上、ガムにまつわる苦い思い出話でした。
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